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子どもの頃、ハス向かいの家に道に面したブロック塀がありました。
まだ、オンラインゲームもポケモンもない頃のこと、その壁にボールを投げて、跳ね返ってくるボールをキャッチするという面白いんだか面白くないんだかの遊びをしていたとき、そこんちのおばさんが、 「うるさい、誰やねん!!うちの塀で遊ぶなや!!」 とゴルフクラブを手にして、外に飛び出してきました。 どうやら、ボールが壁に当たると家の中まで響いてたみたい・・・私はその剣幕に硬直してしまい棒立ちのまま・・・わ、ゴルフの棒でどつかれる・・・と思った瞬間、黒い影が走ってきて一言、 「このアホタレが!」 言うと同時に私の頭をバシっとしばく近所のおばちゃん。 「よその壁、おもちゃにすなって、何回言うたらわかるねん!ほんまにあほやな、この子は!!」 といいながら、何度も頭をベチっベチっとしばきます。 「そんな子に育てた覚えはないで。もう、煮るなり焼くなり好きにしてやって」 とゴルフクラブおばちゃんに私を差し出します・・・オバハン、ナンデヤネン・・・すると、ゴルフクラブおばちゃん、 「いや、わかってくれたらええねん。二度とすなや(するなよ)、このくそがき!」 と言って家の中に去っていきました。近所のおばちゃんと取り残される松井。 「あんたあほやな。あそこはや○ざのチン○ラやで。遊ぶんもたいがいにしいや。奥さん、夜の商売やから、昼間は静かにしとき」 静かにしとくのは分かったけど、おばちゃんに「育てられた」覚えもないし、「煮るなり焼くなり」されても困るし、「チン○ラ」って何?「ヨルノショーバイ」ってなんやねん、と思ったけど・・・「ごめんなさい」といいました。これ、今ならはっきり理解できます。 近所のおばちゃんは先にキレて、私を叱りつけることで、ゴルフクラブおばちゃんを代弁し、怒りの気持ちを解決したのです。子ども相手に大人二人でキレるのは、バランスがよろしくない。先に頭をどついたら、次の大人は「もういい」というしかなくなる大阪のおばちゃんなりの計算があったのだと思います。遊びすぎた私に適当な制裁を加えるところを見せて、大事に至るのを防いでくれたのです。 これ、職場でも必要です。謝罪が必要な場合、2つの解決が必要になります。 1つは「事実の解決」です。代替品の提供であったり、損害賠償であったり、経済的なもの。 もう1つは「気持ちの解決」です。怒っている先方に気持ちを鎮めてもらわねばなりません。 「事実の解決」はお金をかければほとんど何とかできますが、読めないのは「気持ちの解決」のほうです。 これを、たとえば、先方の目の前で先に上司にキレてもらうのです。バシバシ頭をどついてもらい、 「そんな社員に育てた覚えはない。煮るなり焼くなり好きにしてください」 これを言われて、本当に失敗した個人を「煮るなり焼くなり」できる人はそうそういません。 「まぁまぁ、おちついて」なんなら「そんなにどつくとパワハラになりますよ」ぐらい先方に言わせたところで、 「実は・・・」と事実の解決を提示する、といった具合です。 「そんな猿芝居するなんて、ずるくないですか」とおっしゃる方、逆です。これは、怒っている先方のためでもあるのです。怒り続けるのだってしんどいのです。エネルギーが要るのです。早めに振り上げた手を下ろす場所を作ってあげるのだって、謝罪の一環なのです。たとえ芝居が入っていたとしても、怒られる側を守るのは、怒る側を守ることにもなるのです。ほんとに刺しちゃったりしたら、理由はどうあれ、捕まっちゃいますからね。 そうやって、近所のおばちゃんに助けてもらった私は、二度とその家の壁で遊ばなくなりました。 大阪のおばちゃんの愛は荒っぽくて、分かりづらいけど、あとからじんわりくるねんなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.12.17 09:21:51
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