吉本に行き!
大阪の子に生まれたら、ちょくちょく耳にする言葉。「吉本に行き!」座敷で上手に座布団を回す子ども、小学生なんだけど「ダジャレを言うのはダレじゃ」的なオヤジギャグを連発する子ども、ただただ騒がしいだけの子ども、大阪のおばちゃんは全部まとめて「吉本」に入れようとします。そんなになんでも送り込まれたら、当の「吉本」だって迷惑だと思うのですが、あるときは「あんたおもろい(面白い)子やな、吉本入ったらええねん」と口の達者な子どもの進路を決めつけ、また、あるときは「そんなにほたえて(暴れて)たら、吉本入れるで」と子どものしつけまで「吉本」にお願いする、とにかく、大阪のおばちゃんは「吉本」が大好きなのである。「吉本」というのは、大阪難波に本店を置く「吉本興業株式会社」、言わずと知れた明治から続く演芸王国であり、現在では6,000人からの芸人が所属する一流芸能事務所であります。大阪では、勉強ができなくても、運動が得意でなくても、浮かび上がるチャンスがあります。それは、「おもろい(面白い)ヤツ」になることです。いやむしろ、「おもろい」ほうがアドバンテージがあります。ただ賢いより「カズレーザーみたいになりたい」と思われ、ただ踊れるより「エグスプロージョンのほうがかっこいい」というのが、大阪の感覚です。どんな風に育とうと、大阪には「吉本」がある。たとえ、ブレイクしてテレビに出れるようになるのが一握りのお笑いエリートだけに限られてるとしても、「おいらには行く場所がある」と思える「吉本」は大阪の子どもの「ココロのセーフティネット」なのです。そして、大阪のおばちゃんは言い続けます。「吉本に行き!」勉強ができなくても、おもしろかったら生きていけるよ、問題ない!職場で行き詰ると、世界のどこにも行き場がないような気がします。セクハラだって、「拒否したら業界にいられないようにしてやる」とか、巧妙なやり口であなたを傷つける人の存在が本当に巨大に思えて、歯を食いしばって耐えてしまう。「今の職場でうまくいかない自分は能力がない」と思い込んでしまう・・・そんな時は思い出してほしいです。「吉本に行き!」そう、大阪のおばちゃんの大好きな「吉本」、大阪には「笑いの王国」があるのです。あなたが思うより世界はずっと広く、道はいろいろあるということを思い出してほしい。辛かったらちょっと離れる。ハラスメントには「NO」という。そして、新装開店したなんばグランド花月で、「吉本に行った人たち」の芸で腹の底から笑ってみるというのはどうでしょう。合言葉は「吉本に行き!ゴー吉本!」新しい世界が開けるはず。あ、ちなみにカズレーザーはサンミュージック所属です!参考文献わらわしたい正調よしもと林正之助伝 [ 竹中功 ]価格:1404円(税込、送料無料) (2017/12/23時点)