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カテゴリ:読書感想文
ちょうど女性指揮者の西本智実さんが中居くんのバラエティに出ている時に読んでいた本。 絶対音感・・・何とも言えぬ響き。すべての音がドレミで聞こえる才能。ワタシなんかの学校以外は全く音楽教育を受けていない者にとっては想像しがたい世界なのですが、あったらとっても便利だろうなあ~と思います。バンドやっていた時は吹奏楽部出身の子や子供の頃からピアノを習っていた子と違い、チューニングに時間のかかること!!音叉を鳴らして合わせようとしても正確ではないので、エレキギターのジャックを差し込むと針がふれてヘルツがわかるマシーンでなんとか合わせていたのでありました。それでも弾いているうちに狂うとまた合わせるのに時間がかかって大変でありました。 絶対音感のある人はいいなあ~なんて読み始めたのですが、ところがどっこい!結構大変なものなんですよ。冷蔵庫の音や走る電車の音・・・すべての音がドレミで聞こえ、歌さえ歌詞よりもドレミとしてとらえてしまうので、歌詞の内容で感動するということが少ないとか。それに絶対音感は幼少時からの訓練によって獲得された才能であることが多く、将来音楽家となるために親によって与えられた教育によるため、音楽そのものを楽しむという機会があまりないように感じました。 教育システムのおかげで日本人に絶対音感のある人は多いそうなのですが、彼らの奏でる音楽は無機質だというのが海外での評判だそうです。いろいろな音楽家にインタビューしているのですが音楽家にとって「あれば便利」というのが大方の意見でした。バイオリンの五嶋みどりが絶対音感があってアメリカに留学した際、440ヘルツでの音感だったため442ヘルツでチューニングされたオーケストラに馴れるのに時間がかかったそうです。絶対というゆるぎのないものを修正するのはそれはそれで大変なんですね~ さて、冒頭の西本智実さんですが、もちろん音大を出たのですが女性の指揮者になるのはむずかしくサブとしての仕事をしていたところ有名な指揮者に認められ、ロシアに留学するのです。しかし、ものすごく過酷なレッスン!指揮者の楽譜ってすべてのパートの楽譜が縦に20くらい書かれていてそれを全部、パッと見て全体をとらえつつ、強弱をつけたり表情を出したりしながら右手で正確なリズムを刻むんだそうです。レッスンでは初見でその楽譜を見ながらピアノでアドリブの演奏を入れたりして、ま、とにかく大変で脱落者多数・・・ 音楽的素養のないワタシには?????です(T_T) しかし、この「絶対音感」の中では科学的なアプローチもあって、人間の聴覚の不思議さにも驚きます。その中で「カクテルパーティー効果」というのがあって、大勢の人が集まる場であっても限られた人との会話を楽しむことができ、かといってその会話だけに集中しているのかと思いきや、どこかで自分の名前が呼ばれるとちゃんと反応することができる。そういう効果のことなんですが、先ほどの指揮者にもそういう無意識の選択があるのではないか?というものでした。(都合の悪いことはゼンゼン耳に入らない人たちもこれかしらね~) 本の終盤になり、五嶋みどりの弟の五嶋龍くんが登場します。お母さんが娘とふたりでアメリカに渡った時、みどりの先生の助手だった人と再婚して生まれた17歳下の弟です。みどりの時にはスパルタだったおかあさんですが、のびのび育てようとした弟は生まれながらに音楽的才能を発揮し、空手なんかもやりながらもバイオリニストとしてすくすく育つ。この本ではまだ小学生くらいですが、現在すでにデビューしていますよね~音楽とは関係ないかもしれないけど、みどりのお母さんのストーリーがなかなかよかったです。女性が自己実現することの苦労がひしひしと感じられてちょっと苦しくなりました・・・ 実は、最初に勤めた会社が楽器の商社でギター、バイオリンなどを扱っていて、ちょうど退社する頃に取引のあった楽器やさんと食事をした時、五嶋みどり親子が渡米前に懇意にしてたんだよ~お母さんが渡米を決意するには大変だったんだよ~と聞かされたことがあり、当時から注目していたのでありました。本の中でも、デビューの衣装はおかあさんの手縫いだったそうだし、今でも衣装を縫いながら龍くんのレッスンをしているとか書いてあって天才バイオリニストと呼ばれながらも派手さを感じない親子のつながりを感じたのでありました。 女性指揮者の率は1パーセントにも満たないそうですが、西本さんはちょっと長い前髪をタクトを振る時に振り乱すところや男性的な衣装がさながら宝塚の男優のようでとてもかっこいいですね。でも自宅を取材した時に作っていた、なんのことない(?)やきそばがべたべたな大阪人らしくて一番よかったです。これからもがんばって下さーい! これこれ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.03.29 21:56:14
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