≪純粋バカ一代≫【現場監督時代】「高血圧少年」≪8≫
【8】高血圧少年と話してる途中に「走れ!走るんだ!」と、大声で激しく言った記憶がある。自分としては、魂の声のつもりで言っていたけど、相手に伝わっただろうか。『運動をしたほうがいいね』などと、年寄臭い言い方をするよりはよかったと思っている。18歳で血圧180というのを、俺がなんとかしてやるという気持ちもあった。その気持ちが伝わったのだろうと思っている。しかし、自殺ほう助未遂を、本気で信じてくれたのは不思議だった。この人冗談で言ってるんだと思われても不思議ではない。それを信じるだけの、静かな迫力があったのだろうか、俺に。しゃべり方は静かで、言うことはきついというのは、今も昔も変わっていない。歳をとってきて、きついことは少なくなったけど。