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2005年11月12日
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カテゴリ:点描
村の鎮守の神様の 今日は楽しい秋祭り、でしたっけ?

今日はどうやら、少し遠くの町で、氏神さまのお祭りがあるらしい。
生まれたときに住んでいた家の近くに、神社がありました。こんもりとした低い山のふもと、傾斜のきつい石段を上がった先に広けた社がありました。
ち、よ、こ、れ、い、と。
じゃんけんをして、石段を登ったりくだったり。幼馴染のみっちゃんとの遊び場でした。秋になると椎の実がころころ落ちる。拾って集めると、(これは炒ったら食べられるんだよ、)と母が教えてくれました。
じゃあ、食べたい。作って!
おねだりしても、笑って相手にしてくれませんでした。

秋祭りの晩には、神楽が来ます。
晩御飯はたいてい、年にいっぺんだけのカニ鍋でした。ぜいたくしてあったまって、母の手編みのセーターを着てポンチョを巻いて、手袋もして、神社に行くのです。
夜の神社は提灯をかたどった灯りをあちこちにつけて、にぎやかでした。短い参道にはいくつかの屋台が並んでいました。カタヌキ、くじびき、お面売り・・・
境内には赤々と火が焚かれ、松だろうか、太い薪が三本くらい水をにじませながら燃えていました。白い灰になっても奥の木はまだ熾きになって赤く、溶けるように炎をあげる。飽きもしないでしゃがみこんで、火を見ていました。暑くなって首に汗をかいてかゆい。ポンチョも手袋も、とうにどこかに置き忘れていました。

神楽の楽がはじまる。火の側から離れないで、遠くの舞台を眺めました。鉦の音も笛の音も笙の音も、ちっともうるさくなくて、森閑にぬけていく。
きらびやかな衣装が回る、踏み音を立てて、声も歌もなく。

子供はただ火のそばに立ち尽くして、異形の舞を見ていました。





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最終更新日  2005年11月12日 17時40分14秒
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