カテゴリ:点描
村の鎮守の神様の 今日は楽しい秋祭り、でしたっけ?
今日はどうやら、少し遠くの町で、氏神さまのお祭りがあるらしい。 生まれたときに住んでいた家の近くに、神社がありました。こんもりとした低い山のふもと、傾斜のきつい石段を上がった先に広けた社がありました。 ち、よ、こ、れ、い、と。 じゃんけんをして、石段を登ったりくだったり。幼馴染のみっちゃんとの遊び場でした。秋になると椎の実がころころ落ちる。拾って集めると、(これは炒ったら食べられるんだよ、)と母が教えてくれました。 じゃあ、食べたい。作って! おねだりしても、笑って相手にしてくれませんでした。 秋祭りの晩には、神楽が来ます。 晩御飯はたいてい、年にいっぺんだけのカニ鍋でした。ぜいたくしてあったまって、母の手編みのセーターを着てポンチョを巻いて、手袋もして、神社に行くのです。 夜の神社は提灯をかたどった灯りをあちこちにつけて、にぎやかでした。短い参道にはいくつかの屋台が並んでいました。カタヌキ、くじびき、お面売り・・・ 境内には赤々と火が焚かれ、松だろうか、太い薪が三本くらい水をにじませながら燃えていました。白い灰になっても奥の木はまだ熾きになって赤く、溶けるように炎をあげる。飽きもしないでしゃがみこんで、火を見ていました。暑くなって首に汗をかいてかゆい。ポンチョも手袋も、とうにどこかに置き忘れていました。 神楽の楽がはじまる。火の側から離れないで、遠くの舞台を眺めました。鉦の音も笛の音も笙の音も、ちっともうるさくなくて、森閑にぬけていく。 きらびやかな衣装が回る、踏み音を立てて、声も歌もなく。 子供はただ火のそばに立ち尽くして、異形の舞を見ていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
神楽って子供の頃はなんとなく怖かったです。
面をつけて踊る姿がとても怖くて、見ないで帰ってきてました。 大人になってからは薪能を見に行ったことがあります。 野外でとてもいい雰囲気でしたが、もっと近くで見たかったです。 (2005年11月15日 23時21分33秒)
ショコラ・ベルさん
薪能、一度見てみたいのです。 炎の赤と熱って、それだけで魔術だと思うので。神楽って土地ごとの特徴があるらしいですね。中国地方の神楽はきらびやかな衣装と勇壮な舞が特徴なのだそうです。よその土地の神楽も見てみたいです。 (2005年11月16日 19時57分15秒) |
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