お店番雑記
きものを扱うお店番を始めてからの愛読書に 澤地久枝著の「琉球布紀行」が有ります。 手元に置き、折に触れては読み返しています。 琉球の染織品に目を向けるきっかけになった本と言えます。 今でこそ日本の最南端、沖縄県となっていますが、 十五世紀からなんと明治時代まで、 琉球王国として日本と中国に両属、 さらに戦後、日本に復帰(1972年)するまでの間、 米軍政権下におかれるという、複雑で過酷な条件の中、 育まれそして奇跡的に復興した数々の染織技術。 花織、絣、紅型、また上布や芭蕉布・・・ その布に携わる人々、それぞれの歴史。 琉球の布に纏わる物語には、 すべてに興味深く惹かれるものが有ります。 これらの織や染が、どうか途切れることなく 後世に繋がります様にと 願わずにはいられない思いです。 秋晴れに相応しい?茜色を基調にした 格子の琉球絣でお店番。 澤地久枝氏が 「この人の織ったきものはなぜか着やすい、 ほかの人の作品と違い、ふうわりと糸が呼吸して いるようなところがある」と綴る大城廣四郎さんの 琉球絣。遺作になりました。 帯はこの秋2度目、「すずめが捕まっちゃう・・・」 の塩瀬九寸名古屋。