体調不良のため、出演予定だった新橋演舞場2月公演「ペテン・ザ・ペテン」(2月1~25日)を休演することになった歌舞伎俳優の中村勘三郎(55)。
「過労の蓄積」とされる病状をめぐって、心配する声が演劇界で広がっている。 「かなり精神的に参っているようです。昨年の大阪公演の入りを気にして、『オレも終わりかな…』と周りにボヤいていたと聞いています」 気になる話を耳打ちするのは、関西の歌舞伎関係者。
実際の舞台は当人が心配するような出来ではなく、「相変わらず素晴しい舞台だった。ただ…」と口ごもった後、「息抜きができなかったのでは?」と、この関係者。ちょうど自宅を改装していたため、夫人も大阪に同行しており、ハメを外せなかったというのだ。 12月には米西海岸アリゾナの別荘で気分転換をはかったが、ここでも異変があった。 「義弟の中村橋之助に“中村座に出る自信がない、お前に任せる”と電話をかけてきたというんです」 例年なら年末に帰国し、1月「新春浅草歌舞伎」に出演する息子の晴れ舞台を観るのが常だったが、今年は年明け6日まで帰国しなかった。 中村家に近い人物が言う。
「これまで、若い年齢層の人たちに歌舞伎に興味を持ってもらいたい、と試行錯誤をして舞台を務めてきました。芝居を思い詰めるあまり、“うつ”のような症状になったのではないでしょうか。とても心配です」 これまで大病知らずで、2005年の十八代目中村勘三郎襲名後には異例の3カ月間にわたる襲名興行を敢行した。
海外公演や現代劇でも賛辞を浴びてきた当代一の花形役者。
当の勘三郎は休演を決めた9日にファクスを通じて、「誠に胸が痛みますが、やむなく降板・休養させて頂くことになりました。私自身悔やまれて悔やまれてなりません」と無念の心境を綴っている。 昨年12月の市川海老蔵(33)が巻き込まれたトラブルは終息したが、新春歌舞伎では休演者が相次いでいる。
「建て替えのため取り壊した歌舞伎座の呪い-なんて噂があるが、笑えない。お祓いしてもらった方がいいのでは」 現場スタッフは顔を曇らせていた。 |