本物の打者だけが結果を出せる低反発の統一球。
予想通りホームランが激減。
セ、パともにヤクルトvs中日、ソフトバンクvs日本ハムと、投手陣のしっかりした2強の争いになっている。
今季から導入した統一球は、野球を正常化している。 統一球には導入者の「加藤良三」というコミッショナー名が入っていることから、加藤良三コミッショナーはこんなジョークを口にしたことがある。「バッターの人には、私の顔を思い浮かべ、思い切りひっぱたいていただければと思います」と。 が、昨年49本塁打を記録、セ・リーグの本塁打王になった巨人・ラミレスが弱音を吐いているという。
「30本以上打てる打者は3人くらいしか出てこないだろう。その3人のうちに自分が入れればラッキーだ」と。飛ぶボールと狭い東京ドームの相乗効果でホームラン量産。
“ドームラン”に慣れ親しんだラミレスにとって、低反発の統一球のダメージは想像以上に大きいのだろう。 通算868本塁打を記録した世界の王、ソフトバンク・王球団会長は「過去にもいろいろあったが、今は過渡期だからね。来年になったら、誰も統一球のことなど言わないだろう」と明言。さらにこう続ける。 「マスコミは去年までと比較していろいろ騒ぐけど、我々には過去は関係ない。今が問題なんだ。現在、どう対応するのかだ。しっかりと考えて対応している選手もいる。統一球だからと不満を言っていても仕方ない。ボールが滑りやすいとか言っていたピッチャーもいたが、今は何も言わないだろう」 実際に過去には、飛ばないボールでホームランが出なくてつまらないからと飛ぶボールを採用するなど、日本プロ野球界は試行錯誤を繰り返してきている。
一流のプロならば、低反発の統一球にも適応する能力はあるだろう。
セ・リーグのホームランダービートップのヤクルトの新外国人選手のバレンティンは、メジャーリーグ使用球に近い統一球に違和感はないだろうが、もっかパ・リーグの本塁打部門1位で、08、09年と本塁打王になっている西武・中村は低反発球にも適応している。 打者が低反発の統一球を克服するための努力をすれば、レベルアップにつながる。
今まで必要以上に飛ぶボールの被害をモロに受けていた投手たちも統一球のおかげで救済され、防御率1点台が続出している。 「平凡な外野フライだと思った、こすった打球がホームランになっては野球にならない。投手は育たないよ。WBCとか国際試合もあるんだし、飛ばないメジャーと同じボールを使えばいい」 前々から事あるごとにこうアピールしていたのは、コミッショナー特別顧問でもある王ソフトバンク球団会長。
そのアドバイスもあり、加藤コミッショナーが導入した、メジャー球に近い低反発の統一球は、野球を正常化させる効果を上げている。 |