相続―これからのこと
前回は、父が巻き込まれた相続の「いきさつ」をまとめてみました。誠意を持って状況を説明すれば、何とか皆理解してくれるだろう、と考えていた父。それまでの話を聞いていた私も、そのことを強く願っていました。しかし、伯母2の子供たちの間の心情的なトラブルもあって、あと一歩のところで、どうにも進めなくなってしまい、(一応)不動産に携わっている私に相談があったのです。私のつたない経験と知識で伝えたことを、以下にまとめてみます。1.遺産分割協議書父が苦労して作成しようとしていたのが、これです。相続人全員の署名・捺印・印鑑証明書が必要です。相続人のうち、1人でも協議内容に不満があり、上記のものが欠けるときは、効力を発揮しません。2.相続分譲渡書父以外で、1.の遺産分割協議書に賛成している人は、相続分譲証明書に署名捺印して、その人の相続分を父に渡すことができます。そうすれば、父の名義(11/12の持ち分)と拒否した人の名義(1/12の持ち分)とで、相続登記をすることとなります。この登記は父だけでできます。ただし今回の場合には、また大変な手間をかけて証明書の署名捺印を集めて歩くのか、という問題があります。しかし、登記後は、自分で利用することや賃貸に出すことも考えられます。また、持ち分を処分(売却等)することも可能です。普通は通常より安い価格でなければ売却できません。土地の形状によっては、持ち分で分筆して、きれいな形(?)で売却することもできそうです。手数料はかかりますね。3.その他の方法ア)登記をしないでそのままにしておく。イ)署名捺印しない人に、代償を払って全て父の名義にする。 当然、父はこのことも視野に入れています。 でも従姉妹にはまともな理屈が通じず、ごねているみたいです。 ウ)家庭裁判所に調停の申し立てをする。分割の相談がまとまらない場合には、ウ)の調停に持ち込むしかないようです。4.遺産分割調停相続人の申し立てにより手続きが始まり、相続人全員の照会書の回答をもとに資料が作成され、調停が始まります。相続人から個別に話を聞き、客観的で妥当な結論に導きます。相続人本人が出席するのが原則です。合意できた場合には調停調書に記載することで成立です。これは確定判決と同様で、非常に重要な書類となります。不動産名義変更も可能です。5.遺産分割審判調停手続きを進めても話し合いがまとまらない場合には、調停不成立となり、自動的に審判手続きに移行します。審判は裁判であって非公開で行われます。裁判官は証拠尋問・証拠調べ、相続財産の確定を行い、それぞれの相続分に応じた分割方法の決定を下し、審判書を出します。これには強制力があり、従わなければなりません。ほとんどのケースでは法定相続分で審判が終わるようです。不服がある場合には2週間以内に即時抗告を行うことができます。6.その他被相続人に対する生前の寄与・貢献によって、寄与分の相続が定められる場合があります。結局、手間ばかりかけても落ちつくところは見えているので、従姉妹(1・2度しか会ったことがない)には、冷静に考えて、常識的な判断と対応をして欲しいと願うばかりです。