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カテゴリ:山登りと山歩き
「健康登山」という言葉をよく耳にしますが、言われてみれば確かにそうかも知れません。
思えばこれまで登ってきた山では、明らかに不健康そうな人を見たことがありませんでした。 体を動かすという意味では他のスポーツと変わりはないのでしょうが、しばし自然と共に過ごすことは、心の健康にもつながっているように思います。 (「森林セラピー」と言われるように、これは科学的にも立証されているようです) 話は戻って南アルプス、これまでとは違って小仙丈ヶ岳から先はどう見ても天候が悪そうでした。 その意味では時間の許す限り小仙丈ヶ岳に留まって、そこからの眺望を存分に楽しみながら、高山に暮らす生き物たちや植物と時間を共にするのが「健康登山」で、ある意味勇気ある登山だったかも知れません。 そんな健康登山とはほど遠く、ただ「頂上を極めたい」という欲のかたまりになっていたのが、小仙丈尾根にいた私です。 その小仙丈ヶ岳を越えてみると、目の前には小仙丈カールが広がっていました。 遠近感がないので、まるでジオラマを見ているようです。 それもつかの間、すぐにガスってしまいました。 ガスで見えなかったのですが、山頂までにはいくつかピークがあるようで、ガスが切れると岩場が見えてきました。 岩場を見ると思い出すのが探検部時代、鍾乳洞で叩き込まれた経験は今も忘れておらす、ここを巻かずになぜか岩を登っていました。 「パブロフの犬」とか条件反射とは言いますが、ラジオ体操の音楽が鳴ると体が動くみたいに、20年経っても体は三点支持で登っていました。 (ヘッドライトの光ではなく、自然光があるのが何よりです) ピークを越えてみると、ようやく山頂付近が見えたのですが、やっぱりガスの中です。 おそらく近隣の南アの山から見ると、「仙丈ケ岳は雲に隠れてだめだな~」などとなったのでしょうか。 その仙丈ケ岳では、何がなんだかよくわからなくなっていました。 さらには台風の影響で風が強く、顔が凍るかと思ったのですが、風が止んだ途端に視界が開けてきました。 透明ガラスと曇りガラスが常に入れ替わっている感じです。 その曇りガラスの中、わずかに仙丈ヶ岳山頂が見えてきました。 あとひと頑張りです。 岩場には風を避けるようにして、イワツメクサが可憐に咲いていました。 そしてようやく仙丈ヶ岳山頂。 これまで登った3,000m峰と言えば富士山があるのですが、私の中では「登っていて全く面白くないあの山」よりも、ずっと価値のある3,000m峰でした。 北沢峠をスタートしたのが7:10、仙丈ヶ岳山頂に着いたのが10:25と、山頂まで3時間15分の道のりでした。 山頂ではさらにヤッケを着込んで、じっとガスが切れるのを待っていました。 仙丈ヶ岳から見た甲斐駒ヶ岳 さすがは南アルプスの女王と貴公子、おいそれと姿は見せないようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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