2018/03/19(月)09:17
仙丈ヶ岳~その4(藪沢から北沢峠へ)
仙丈ヶ岳山頂はガスに覆われていて視界はほとんどなかったものの、時折パッと視界が開けることがあって、ほんの一瞬だけ夏の青空や周囲の山並みを望むことができました。
何よりも風が台風並みに強くて、じっとしていると寒くなってきたので、早々と山頂を後にして、再び北沢峠へ戻ることにしました。
北沢峠までの累積標高差は約1,200m、行きも帰りも同じなのですが、思った以上に道がガレていたこともあって、この標高差の降下には少し不安があります。
そこで帰り道は藪沢を経由せず、仙丈尾根の来た道を戻ることにしました。
仙丈尾根を下る途中に仙丈小屋方面への分岐があるのですが、この分岐まで来たところでやっぱり気が変わって、「せっかく来たんだから」と藪沢を経由するルートで戻ることにしました。
仙丈尾根から仙丈小屋方面への分岐
仙丈尾根を長野県側へ下り、仙丈ヶ岳直下の斜面を巻くと、風力発電の風車が並ぶ仙丈小屋が見えてきました。
仙丈小屋からは藪沢カールの直下を行き、藪沢へと下りて行きます。
「北北東に進路をとれ」
振り返ると藪沢カールの向こうに仙丈ヶ岳が見えるはず、だったのですが、「南アルプスの女王」は雲の中でした。
それでも「南アルプスの貴公子」、甲斐駒は正面に見えてくるようになりました。
甲府盆地も遠くに眺められるようになり、着実に高度を下げているのがわかります。
ナナカマドとハイマツの群生地を降下中。「深く静かに潜航せよ」
仙丈ヶ岳では森林限界の高度が高いような気がしたのですが、それだけに草木も豊富なのかも知れません。
森林限界もはっきりしているように思います。
藪沢に沿って行くルートには高山植物が豊富だと、ガイドブックなどでは紹介されています。
また、仙丈ヶ岳で暮らす生き物には、ツキノワグマ、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ライチョウ、ハトガラスなどがいるのですが、ハトガラス以外はお目にかかれませんでした。
その高山植物を野生のニホンジカから保護するため、ところどころに防護ネットが張られていました。
ウサギキク(?)
後で図鑑で調べてみたのですが、今一つよくわかりませんでした。
防護ネットの向こうには群生しています。
花の色も種類も様々だったのですが、名前がよくわかりませんでした。
後でこの花の名前を調べてみると、「じぇじぇ、トリカブト」
やがて藪沢のせせらぎが聞こえるようになり、馬の背ヒュッテに到着しました。
馬の背ヒュッテからは、仙丈尾根5合目の大滝の頭にトラバースする分岐があるのですが、そのまま藪沢沿いを行くことにしました。
藪沢上流部
まさに南アルプス天然水です。
仙丈尾根の長野県側を流れる藪沢の水は、戸台川、黒川、三峰川へと合流しながら、最後は天竜川となって遠州灘の太平洋へと流れて行きます。
その藪沢左岸に道があり、ガレ場の続く道を延々と降下していきました。
7月上旬までは雪渓があるようです。
途中にある滝
仙丈小屋からここまで1時間の道のりでしたが、ようやく半分くらい来たところです。
滝の先で藪沢の右岸に渡り、藪沢のせせらぎを遠く下の方に聞くようになると、樹林帯の急斜面を下って行きました。
振り返ってみるとこの最後の樹林帯が最もつらくて、奥多摩や奥武蔵を歩いているのと全く変わりませんでした。
(標高は2,000mを超えているとは言え、暑い上に眺望もなく、何よりもモチベーションがだだ下がりです)
仙丈小屋から約2時間、ようやくの思いで南アルプス林道の太平山荘に到着しました。
サッポロビールの★マークがしびれますが、この高度で飲んだら、ひっくり返ってしまいそうです。
普段から「生はサッポロの黒ラベルに限る」と豪語する黒ラベル好きですが、ここではトリカブト以上に猛毒なので、なるべく看板に近寄らないようにしていました。
ところで北沢峠から広河原へ向かうバスは午後に2便あって、13:30と16:30があります。
(時期・曜日によって異なります)
13:30のバスに何とか間に合いそうだったので、南アルプス林道を駆け抜けるようにして、北沢峠に向って行きました。
朝の7:10に出発して、再び北沢峠に戻って来たのは13:25、6時間15分の山行でした。
北沢峠から広河原へ、さらにバスを乗り継いで甲府に着いた時は疲れ果てていて、南アルプスの余韻に浸る間もありませんでした。
「小作」甲府駅北口店
もはや「花よりほうとう」、「山よりビール」といった感じです。