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タケノコmaxのパソコンでオーディオ

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2008年06月19日
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カテゴリ:オーディオ


ハイエンドなネットワークミュージックプレーヤーとして興味深いLINNのKLIMAX DSだが,意外と好評なのか,その廉価モデルが立て続けに登場してきている。300万のKLIMAX DSは論外だし,同等の機能を持つというAKURATE DSも90万という値段なので,いつか試聴してみたいという程度だったが,さらなる普及モデルのSNEAKY MUSIC DSは,強気な価格設定が目立つLINNにしては珍しく30万という現実的な値段で手に入ると言われると,ちょっと導入を夢想してしまう。CEC DX71の調子が良くないので別のDACを物色中ということもあるし。

まず,KLIMAX DSやAKURATE DSは純粋なプレーヤー機能しかついていなかったが,Sneaky Music DSにはアンプも内蔵されている。PCとLAN接続したSNEAKY DSにスピーカーをつなぐだけでシステムが完結するのはシンプルで良いが,今のアンプを使いたい私にはあまり必要のない機能だ。ただこのアンプ機能はオフにできるらしい。PCからSNEAKY DSへのファイルの転送方法はKLIMAX DSなどと同じようだ。

今使っているDACやオーディオカードマスタークロックジェネレーター(LINNは外部クロック入力など付けるつもりはないようだし・・・)などを売り払ってSNEAKY DSを中心に据えたシステムに完全に移行する可能性なども考えつつ色々調べてみたが,結論から言えば,今のところLINNのDSシリーズは利便性を求める私には合っていないようだ。

確かに,回転系を排したネットワークミュージックプレーヤーというアーキテクチャは,従来のCDプレーヤーと比べて音質的に有利なのは明らかだ。通常のCDプレーヤーのようにCDに入っているデジタルデータを毎回1からリアルタイムに読み込み,わざわざエラー補正による音質劣化のリスクを冒すよりは,一度時間をかけてエラー訂正やベリファイを行いつつ完全にコピーしておいたデータを,高精度のDACでアナログ変換したほうが安定して高音質で出力できそうなことは感覚的にも理解できる。アナログ変換時の音質劣化を引き起こすとされるジッターの発生を抑える仕組みも,リアルタイムに読み込む場合に比べて構築しやすいはず。

一部のオーディオマニアも,その利点があったからこそPCオーディオ(PCトランスポート)に注目してきた。CDプレーヤー以上の音質を求めてオーディオ専用のPCを新たに作り,電源をオーディオ用のものに替え,ノイズの塊と言われていたパソコン内部からノイズを徹底的に排除し,再生中は他のアプリケーションを極力起動させないようにした。しかし,当然ながら,そのように拘れば拘るほどパソコンの利便性は失われてしまう。もちろん,そもそも純粋なオーディオシステムとしてPCトランスポートを構築しているのだから,彼らにとっては利便性などそれほど問題ではなかったのだが。

LINNのDSシリーズも,基本的にはそういった「利便性よりは音質」路線の人向けであると言え,私のようないいかげんなオーディオファンには敷居が高い(このブログも,あくまで普通に使っているPCから出る音を高音質にしたら,パソコンの利便性にピュアオーディオ的音質がプラスされておいしい,ぐらいのスタンスなので・・・)。

まず,音楽データはネットワークを介してDSシリーズに送られるが,その時には専用のソフトウェアである「Linn GUI」を使う必要がある。あくまでPCは音楽データをDSに転送するだけに過ぎず,DSをオーディオデバイスとして認識したり,あるいはオーディオカード経由でDSにデータを送ったり,といったことはできない。つまり,Gyao動画投稿サイトなどネット上の音声や,MIDIやMODなど,Linn GUIが対応していないファイルをDS経由で直接演奏させることはできない。何より,対応しているフォーマットがWAV,FLAC,MP3しかないので,Monkey's AudioやWMA Losslessをメインに使っている私にはかなり痛い。また,以前SACDも演奏できるかも,などと書いたが,現状ではまず無理そう。LINNはやはりネット上の高音質配信をメインに据えていくつもりのようだ。

加えてLinn GUIの操作性も,バージョンアップを繰り返して向上しているとは言え,Windows Media PlayeriTunesなどの一般的なミュージックプレーヤーにようやく近づいてきた程度。膨大な音楽ファイルの中から聞きたい曲を瞬時に検索するといったことも難しそう。長年フリーウェアを使ったファイル管理の快適さに慣れきっているので,おそらくよほど改善されないとLinn GUIにはストレスがたまってしまうのでは。Linn GUIをオープンソース化して世界中のユーザーが手直ししていく,といった方向性が生まれるとおもしろいかもしれないが。

このように,今のところは音質のために私の求める利便性や汎用性が犠牲になっている印象のLINN DSシリーズだが,興味深い製品であることには間違いない。一度音を聴いてみたいが,LINNは取扱店が少ない・・・。SNEAKY MUSIC DSなどは一般的なパソコンショップなどにも広くアピールできそうなのだが。ウェブ上に散見されるレビューを読む限り,何はともあれ音に関して悪い評判はなさそうだし,SNEAKY DSはオーディオ専用のPCを構築したい人にとっては現在最もコストパフォーマンスの高い選択肢の1つだろう。パソコンをNOKIAのタブレットPCにするなど工夫することで操作性も改善できるようだ。

日本のメーカーが競合する製品を出してくるかどうかも気になる。以前VAIO MXという音楽鑑賞を重視したパソコンを出していたソニーあたりにも,初代MXユーザーだった私としてはもう少しがんばって欲しいところだが(TRIPATHのデジタルアンプを搭載していたりMDデッキを搭載していたりと,今考えればなかなかおもしろいパソコンだった)。またSNEAKY DSがきっかけでPCオーディオへの関心が高まり,PCオーディオを意識した単体DACなども増えてくれるとうれしい。

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最終更新日  2008年07月21日 18時07分49秒
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