テーマ:高級ホテル・高級旅館(34)
カテゴリ:旅先
上の窓二つがアタクシの部屋。 色々なホテルに泊まるけれど、この秋滞在したリゾートで衝撃を受けた。 お化けの出る高級ホテルの話題ばかりで申し訳ないのだが。 大草原の古城ホテルの話がまだ途中で恐縮なのだが。ひー。ごめんなさい。 昔... と言っても、1970代まで起こっていたので比較的「最近」の悲劇なのだが、この国でも先住民を多文化に同化しようと、色々酷い事をしている。 その中でも「寄宿学校制度」は残酷だった。先住民の家族から、子供を拉致同然の状況で寄宿学校に放り込み、家で馴染んでいた言葉の使用を禁止して、英語とキリスト教の授業を強制した。 親から引き離された上、ひもじい思いをしたり慣れない生活に苦しんだり、あげくの果て虐待されて亡くなったり。 未だにこの忌まわしい「寄宿学校制度」・「先住民共生制度」の過去は大問題だ。 その曰く付きの寄宿学校(兼ミッション)の一つが最近高級ホテルに作り直された。 付近の先住民団体が集まって色々議論したらしい。 こんな呪われた建物、全部焼き払ってしまえばいい。そう発言した人も少なくなかったらしい。 でも結局、ある老婆の提案に皆賛成した、と従業員の Gさんに伺った。この悲しみで渦巻く建物達を、力を合わせ、幸せな所に作り替え、我々の若者が楽しく勤められる所にしてみせましょう。私達の生活を破壊しようとしたこのミッションを、今度は私達の生活を支える場所にしましょう。 そして数年前、豪華なリゾートが誕生した。 「ときどきお化けが出るけどね」とGさんは笑っていた。 亡霊の出るホテルはもうたくさんなんだけどな。 「ロビーから、正装した生徒達が整列して向こうの白い教会までゆっくり歩いて行くのを見たお客が随分いるしね。」 ひっ。 ロビーには、あの老婆の肖像画が飾ってあった。チーフで提案主の彼女が、エプロン姿で、頭にスカーフを巻き、目を伏せて猫を撫でている絵だ。 窓からはのどかで平和な谷が見渡せる。 スパ、ゴルフコース、カジノ、ウエディング・チャペル、博物館、プール、サウナ、テニス・コート、レストラン、バー、カフェ。小さいけれど何から何まで揃っているリゾートだ。当時の牛小屋は洒落たお土産店に変身しているし、大工仕事のワークショップはそのまま使われている。 至る所に「寄宿学校」時代の写真が飾ってある。みんな笑顔だ。胸が痛む。 博物館の他に、ティーピーもあった。向こうに教会が見える。 古いけれど、とても美しい教会だった。 近くで見ると、所々痛んでいて、修理中・危険なので立ち入り禁止。 生徒達の姿は、アタクシには見えなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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素敵なご提案をされたおばあちゃま、尊敬します☆
歴史は、大切な教訓として忘れてはいけないけれど 建物だけでなく、人の心にも光が注ぎこむ 場所になったら、少しは亡くなられた方々も 報われるのではないでしょうか。 それにしても、敢えて選んで泊まられる タリア川の石さんも、真似は出来ないけれど (こわがり^^)、素晴らしいなぁと思います☆ (2010.11.12 11:23:00)
>素敵なご提案をされたおばあちゃま、尊敬します☆ 勇気があるおばあさんですよね。 >歴史は、大切な教訓として忘れてはいけないけれど >建物だけでなく、人の心にも光が注ぎこむ >場所になったら、少しは亡くなられた方々も >報われるのではないでしょうか。 フロントのおばさんも、会議室の IT係のお姉さんも、ルームサービスを運んでくれたお姉さんも、プール係のお兄さんも、廊下ですれ違う従業員さんも、皆明るい笑顔で、丁寧にお仕事をされてました。悲しく暗い所だったらどうしよう、とちょっぴり心配していたのですが、とっても嬉しくなる様な、胸を打たれる様な、素敵な所でした。 >それにしても、敢えて選んで泊まられる >タリア川の石さんも、真似は出来ないけれど >(こわがり^^)、素晴らしいなぁと思います☆ アタクシが選んだんじゃないんです。先住民の人権関係の仕事をプロボノでしている友人が会議用施設に勧めてくれて、会議がそこで開催される事になったんです。アタクシ、その次の日ワークショップを頼まれてしまったので、おかげでリゾートをたっぷり味わえました♪ むふ♪ さすがに「確実に出る」と言われていたカジノには行けませんでしたけど。 (2010.11.12 15:12:54)
とても情緒ある素敵な建物に見えますが、そんな悲しい歴史があるんですね。
そういえば、第二次世界大戦の後、日本に対しても 漢字や仮名文字を使うことを止めて、ローマ字を使うよう指令が出たとか、、、。 それを何とか先延ばしにして貰い、今でも日本語を使って暮らしていられることは幸せなのかもしれません。 (2010.11.12 20:56:57)
>とても情緒ある素敵な建物に見えますが、そんな悲しい歴史があるんですね。 ゆったりとした、いい所でした。でも、深夜、つい耳をすましてしまいました... >そういえば、第二次世界大戦の後、日本に対しても >漢字や仮名文字を使うことを止めて、ローマ字を使うよう指令が出たとか、、、。 >それを何とか先延ばしにして貰い、今でも日本語を使って暮らしていられることは幸せなのかもしれません。 「戦争」でなくとも、人の文化や言葉を否定したり奪ったり、悲しい事ですね。このリゾートの博物館で、週一回の言語クラスがあるそうです。主に若い人たちが、古いオーディオ・テープを聴きながら一緒に言葉を練習するんですって。 (2010.11.13 06:00:01)
ありがとうございます。
寄宿学校もこうして生まれ変わっているものもあるのですねえ。 (2010.11.13 09:07:15)
先日はコメントありがとうございます。
寄宿学校制度、6月に友人のところへ遊びに行った際、ニュースに取り上げられていました。物凄い数の行方不明者について、友人のお父さん-T大付属病院の心臓外科医-が憤慨していました。 (2010.11.15 07:49:29)
>先日はコメントありがとうございます。 寒くなりましたね。コチラはもう出張先が雪だったりしますよ。 >寄宿学校制度、6月に友人のところへ遊びに行った際、ニュースに取り上げられていました。物凄い数の行方不明者について、友人のお父さん-T大付属病院の心臓外科医-が憤慨していました。 寄宿学校制度も問題ですが、幼児を取り上げて白人の家族にしてしまっていた事もあったのですよね。大学での友人がそうでした。取り返しのつかない事です。 (2010.11.18 15:22:26)
ああ、そんな白人化政策(?)について聞いたことがあります。
日本だって隣国に対して日本語教育を強制した歴史がありますからね。決して忘れてはいけないことだと思います。 感情的にならずに、次の世代の将来を見据えることのできる、地に足のついた強さ、生命力と民族の誇りを感じます。 そんな目上の人の言葉に耳を貸し、尊重することのできるコミュニティって素晴らしいですね。 苦しんだ人々の霊が癒される日が来ることを祈ります。 (2010.11.21 23:35:30)
>ああ、そんな白人化政策(?)について聞いたことがあります。 >日本だって隣国に対して日本語教育を強制した歴史がありますからね。決して忘れてはいけないことだと思います。 そうですよね。子供の頃、親友の Eちゃん(韓国系北米人)の家に遊びに行けませんでした。ごめんね、おばあちゃんが悲しむから、って謝られてしまい、アタクシこそ罪悪感に苛まれました。忘れてはいけない。その通りですね。 >感情的にならずに、次の世代の将来を見据えることのできる、地に足のついた強さ、生命力と民族の誇りを感じます。 >そんな目上の人の言葉に耳を貸し、尊重することのできるコミュニティって素晴らしいですね。 > >苦しんだ人々の霊が癒される日が来ることを祈ります。 このリゾート、ものすごーーーく繁盛してましたよ。 行けて良かったです。今度は春に行きたいな。 (2010.12.31 14:34:30) |
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