空也のこれからを
読者は想像する。江戸に戻った空也は、父磐音とあちこちに挨拶に行かねばならない。それも、空也の苦手な紋付羽織袴で。畏まった様々が押し寄せてくる。ゆっくりする間は無い。武者修行の方が楽だと、思う。それに、お城では将軍家斉が待っている。速水さんは将軍に会う前に、空也の立場をはっきりさせねばと、父磐音とあれやこれやに動き回る。空也の思いは無視。空也の心のわだかまりは、父に打ちあければよい。父も同じ思いをしているし、それを背負っている。命を賭して己と闘ってくれた剣術家の魂にどう向き合えばいいのか。父は真摯に剣術と向き合い、ひたすら稽古をする事で向き合っている。おこんさんもそれをよく知っている。若い空也には重い荷だ。尚武館の後取りとして、どのように処すればいいのか、空也の幸せは父がそばにいる事。年長の門弟がいること。これに勝る支えはない。あと祝言、今津屋の吉右衛門さん、品川柳次郎さんの言い出しっぺの様々が、どのように運ばれるか。想像するだけで楽しい。武左衛門さんの関わりも楽しみ。たった二行て終わる事は無いと思う。そうそう、薬丸新蔵さんとは修行中に会わなかったね。空也が江戸に戻った、という噂を何処かで聞いて、江戸に戻るかな。新蔵さん自身のこともあるので、無理かな。読者は会わせてあげたい。物語の出版が終わっても、あれこれ考えることが出来る物語だなぁ。黄色いぼたん。見事に咲いた。