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2006年05月08日
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 ゴールデン・ウィーク中に、村上春樹・編訳の『バースディ・ストーリーズ』を読みました。
まだ半分しか読んでいませんが、ラッセル・バンクスの「ムーア人」が一番良かったです。
ちょっと泣けてくるほど。
ラストの主人公の思いに共感できて、ぐっときてしまいました。

この短編はウォーレン・ロウという、50がらみの男が主人公です。
フリーメイソンのセレモニーでした、顔の黒いメークアップをコールドクリームがなくて落としきれないまま、仲間とバーに行くと、80歳ぐらいの老女のバースディ・パーティーに出くわします。

ウォーレンはその老女に見覚えがありますが、思い出せません。
バーを出ようとすると、老女に袖をつかまれ、名前を呼ばれます。
その瞬間、彼はすべてを思い出します。

老女は、彼が21歳のとき、つきあったことのある、当時は今の自分と同じぐらいの年齢の人妻でした。
そして、二人は昔話をし、ちょっとした質問をしあいます。
それがこのお話の肝心なところですね。

そのあと、二人は老女を送っていくため、
粉雪の舞う通りにでて、ウォーレンの車にのります。
老女は彼の顔に残っている黒いメークアップを見て、
「まだ演劇をやっているの。 演目はなに?」
と聞きます。
彼はフリーメーソンの儀式だともいえず、
「オセロ」だと答えます。

シェークスピアの「オセロ」は、
ムーア人のオセロが旗手イアーゴーの奸計にかかり、
自分の宝ともいえる美しい妻のデズデモーナを猜疑心から殺し、
真相を知って悔恨に耐えられず自刃する、というストーリーでしたよね。

過去はもう取り戻すことのできないもの。
輝かしいときは過ぎてしまった。。
主人公の後悔には、このオセロと同じ無念さがあって、
すごく切なくなってしまいました。

ひさびさに面白い短編を読んだって感じです。





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最終更新日  2006年05月08日 17時44分46秒
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