夢が戦争で踏みにじられる
命も一つの駒のように軽んじられた時代
『いだてん』のストーリーは悲しい展開になってますね
オリンピック開催を辞退する決断を下した副島サンの苦悩
嘉納サンの遺志を継いでなんとか東京でオリンピックを開催したい
けれど、時代の波には逆らえず心を殺して万歳を叫ぶ田畑サン
東京で開催されなくても別の場所で開催されるオリンピックに出るという
夢を見続けようとする小松クン
結婚して可愛い息子も生まれたのに出征しなきゃいけないなんて
行かせたくないのに『お国のために立派に戦ってこい』なんて
万歳して送り出さなきゃいけなかった家族や友人
フィクションではなく本当にそんな時代があったんですよね
ここ日本で
もう二度とそんな時代は来て欲しくはないですが
今の世界情勢の不穏な雲行きを考えると暗澹たる気持ちになります
日本が直接巻き込まれる事は無くても戦争は地球上のどこかで絶えず起こっているし
憲法で戦争放棄している我が日本だって
総理大臣自らが改憲を掲げているんだから
いつ、戦争が出来る国へと変化してしまうか分かりません
戦争体験者がどんどん鬼籍に入っていく今
たとえドラマがきっかけでも考える機会になれば良いな
なんて思います
このドラマで今描かれている太平洋戦争
70数年前って書くと遠い過去のように感じられるけど
私にとってはそうでもないというか
子供のころ祖父母に戦争体験を聞いたり
戦争で亡くなった身内の写真を見せられたり
その最期の話しを聞いたりして育ったので
遠い過去のものとは思えないんですよね
空襲で、南方戦線で、軍艦上で亡くなった親戚
学徒動員で特攻行く寸前で終戦を迎え
命拾いした大伯父もいました
小学校でも年配の先生が、防空壕へ避難する時に
隣を走っていた友だちの頭が機銃掃射で飛ばされたのを見た
校庭のあの辺りだったよ、なんて話しをしたり
ある意味、まだ戦争が身近だったような気がします
同世代の方々、そうじゃありませんでした？
子供に語るには重い話しだと
きっとオブラートに包むように話してくれたのでしょうが
それでもどれだけの命が夢が、いとも簡単に奪われたのか
子供だった自分でも想像すると夜眠れなくなったほど衝撃的でした
簡単に紙切れ一枚で『国のために死んでこい』って言われる時代が
殺し殺されるために行くのに『おめでとう』って言われ
死んだら『お国のためによくやった』って褒めなきゃならない
そんな異常な事を強いられたって事実に背筋が凍った
先日実家の墓所を建て替えて墓石を一つにまとめたんですが
それ以前は仰々しい墓石がズラリと並んでて
みんな戦死した親戚のだったんですよ
ただ苔むしててボロなんですよね
その理由は
『名誉の戦死だからちゃんと墓石を建てなきゃいけない
と言われたから。
けど、建てる墓石が多すぎて良い墓石が足りなかったんだ』
『いだてん』はドラマだから
これから戦後復興とかオリンピック誘致と
それに情熱をかける人々を描いて
明るくエネルギッシュなストーリーになって行くんでしょう
ある意味、最初のバカバカしい空気を醸し出すのかも知れませんが
戦争の鬱屈した暗い空気を吹き飛ばすために必死になった
当時の人々をどう描くのか
まだ少し先なのでしょうが楽しみにしています
