テーマ:お勧めの本(7263)
カテゴリ:本のこと
☆☆☆文科省廃止こそ、急務の行政改革ではないか☆☆☆ それにしても、こうした博士達をなぜ、日本は無駄遣いしているのでしょうか? まず不思議なのは、団塊世代の退職で不足する小中学校(高校も?)教員に活用することを、こうした事態を生んだ責任者である文科省が考えないことです。それどころか、文科省は、最近、教員養成のための専門大学院を別途作ってしまいました。筆者のロジックを借りれば、既得権を守るために、大学と文科省がまた新たな謀をしていると読めます。 筆者が書いているように、こうした新設大学院には多額の補助金が支払われています。政府は公共事業の圧縮には熱心なのに、なぜこうした無駄な支出は放置するのでしょうか。 しかし、教育における無駄遣いは、その人の人生を無駄にするという点で、公共事業の無駄よりも罪が重いにもかかわらず、その実態が見えにくい。日本の競争力強化という美名の下に、教育投資は日本の成長力を高めるという高名な経済学者も支えになって、こうした無駄はいまだに続けられているのではないでしょうか。 私自身はこうした問題の源泉である文科省の廃止こそ、いま最も求められる行政改革ではないかと考えています。
一方、空前の売り手市場になった大学生のわがままに苦しむ日本企業が、こうした博士たちを活用しないことも理解に苦しみます。筆者も指摘しているように、博士課程まで行くような人間は変わり者で使いにくいと考えているのでしょうね。しかし、私自身、仕事の関係で博士課程の学生さんを何人か見ていますが、売り手市場で企業を甘くみつつある大学生を採用(後述するように大学で仕事しているので、実感してます(笑))するより、彼らを採用した方がよほど会社のためになると思います。同様に、ここ数年の就職氷河期に、意に反してフリーターになってしまった人々を採用すべきではないか、と考えています。 しかし、企業経営者はそんなことをしません。かつて、経済団体に勤め、政策決定過程とも多少の縁もある友人に聞くと「そんなの当たり前」と言われました。友人曰く、「人事担当者だってサラリーマン。自分が人事担当をしているときは大過なく過ごしたいと考えている」からだそうです。だから、採用ラッシュと就職氷河期が起きるというわけです。 確かに、私自身、2003年に失業率の上昇が止まったときに、「もういい加減、企業経営者は採用を正常化すべきだ」というレポートを書いたことがあります。データの簡単な分析から、失業率上昇が止まったのは2002年から始まった景気回復よりもむしろ、大量退職が始まったことが主因であることがわかったためです。団塊世代の退職が2007年から始まることもすでにわかってました。しかし、人事担当者は動きませんでした(ちなみに、私のいまの出向先もそうでしたが)。 日本企業は決して長期的な経営をしていない、企業取材をしていた経験とこの経験で2003年当時、確信しました。そして、最近の新卒の奪い合いにあきれております。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 4, 2007 12:15:02 AM
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