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カテゴリ:テレビ番組
■なんかありえないですよね。毎回見るたびに、これ以上面白くするのはきついだろうなって思っているんだけど、今回もクリアー。遅々としながらも物語は進展していくし、スペシャルで張り巡らしたリンクもだんだんと解明されていくし、本当にやばいくらいにきちゃっている。
■様式に見事にはまっちゃいましたね。やはり落語という筋が一本あるところが大きいと思う。創作の原点として、その元ネタに対するリスペクトがまずあります。そしてそれをどのようにアレンジしていってリミックスしていくかの、いわゆるDJ感覚、官九郎さん、このセンスが異常に高い。最初から自分のオリジナルで一本というよりはこっちのやり方の方が彼にあっている、いや本当に。 ■人間万歳なんですよ。今回一番好きなシーンは終盤、森下愛子を長瀬と岡田君と塚本君(タイガー&ドラゴン&シルバーですね)が車を走らせて送っていくところでのジェラシー談義なんですね。メグミとラブホに行った長瀬に岡田君が強烈なジェラシーを持ち、侘びも寂びも通じないはずの長瀬がメグミとデートした岡田君に初ジェラシーを感じ、それを聞いていた塚本君が無性にいらだってしまう。クールですぅって先端のように見える彼ら三人にプライドをまぶせつつもコンプレックスを見せたりしてしまうところのマジ具合。こういう所がこのドラマを見た後に残る不思議な爽快感のサブリミナルになっているわけですよ、きっと。 ■もう少し言えば、岡田君は西田さんに、塚本君は(劇中劇では長瀬)は鶴瓶にやがてはなっていくわけで、そのモヤモヤ感は歳をとっていってもずっと引きずるものだという感じ。そんなつまらない虚勢なり、嫉妬なりを達観する事はないのだという事。そして結局、古典落語で表現されているのは、まさにそう言う感じなんであるという事への回帰。最初に出してきたものを他のものに置き換えて膨らませてからまたそこに戻ってくる感じ。素晴らしい。 ■今回終盤の小虎の落語が変容していますよね。二つ目になって、彼の噺が変わっていったのは、完全な現代口語落語になっていっている点ですね。古典を下敷きにしながらも、彼の日常、彼の言葉で「俺の噺」を聞かせてしまっている。「夜が明けた」このシュールなオチで観客は最初戸惑うわけですよ。拍手しようにも間がわからない。ドラマの中では「じれっタイガー」っていう、あの決まり文句が観客を解放する突破口にしているんですが、実はこの作家は最初に小虎が頭を下げたところで感じ取って欲しかったはずなんです。この新しいスタイルをね。 ■吹いてしまった数々 竜二の名札、「オレ東京タワー好きだし」、「男もんのシャツってのは 女が着るもんだ」、「ハンサムバカとアフロバカ」、「つぶつぶマスコット」(これはおそらくサダヲさんの即興ギャグで我慢している長瀬がかわいかった)、「何時に帰ってくるのかわかったらデートじゃないだろ / 何時に帰ってくるのかわかったら同窓会じゃないだろ」、CLUB YO-SEの全てのシチュエーション、前説のどん太のヨーヨー要相談、おそらくあれはBOSS片岡が微妙に絡んでるイベントなんだろうな、一番笑ったのは、やっぱり、ショーちゃん、ケンちゃんの70年代ドラマでしょ。白いギターで「フランシーヌの場合」、「ナンセンス!」「16が犯罪だったら、オレは犯罪者になる!」あのショーちゃん、ケンちゃん、続けて言えばショーケンになるわけですよ。でももう絶対同じネタは使わないと思う。次は何かなと思わせて、完璧無視も多いからね。 ■実は今日はこのドラマは録画で、リアルタイムでは山田太一ドラマの方を見ていました。私最初の3分で泣きました。プロの脚本家がプロの役者たちで作った人間万歳ドラマでした。若者から老人までほぼ完璧なセリフで役者さんたちは一字一句、間違わずに彼の描いたシナリオ通りに喋る事が第一の条件でした。偶然ですが、森下愛子が真逆の役で出ていました。彼女の娘役の上野樹里が素晴らしかったです。見終わった後の余韻がものすごく大きくて、ちょっと途方に暮れていました。そしてその後見たこのドラマの余韻も突き詰めていけば同じ根っこなんだなって気がします。山田太一の凄さについてはまたいずれ機会があったら書いてみたいです。 ← please vote! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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