トカトントン 2.1

トマトに塩をかければ、サラダになる。　ミッシェル・サラゲッタ

■関東圏では現在このドラマ、何回目かの再放送中である。各回に副題が付いていたんですね。で、今日は「一晩だけの支配人」。もちろん、この作品、オンエア時も、再放送も何回も見ている。ビデオにも全部撮ってあるし、ＤＶＤも借りた。それでも、またこの回が見たくて、今見終わった所だ。

■メートル（給仕係）小野武彦演じる梶原さんがフューチャーされた回である。突然ベル・エポックに別れた奥さんが息子の藤吉郎君を連れてやってくる。梶原は見栄を張って、自分のことをこの店の総支配人だと言ってしまう。そして、嘘が嘘を呼び収拾がつかなくなっていくという三谷作品お得意の作風である。「君となら」「Bad News Good Timing」と同じような、テンポあるドタバタ感が楽しい。

■放映時は山口智子が本当にかっこよくて、彼女にばかり目が行っていたのだが、今、見直すと鈴木京香がうまいんだ。表情の変化とセリフの間。「だって私、愛人顔だから」このセリフにはいつ見ても唸ってしまう、本当うまいホンだ。

■有名な総支配人のエピソード。宋支配人、謎の中国人宋健明の西村には何度見ても笑ってしまう。劇中彼が話した中国語「ニーハオ　ニーユーサムスーマ」は 「こんにちわ、なにかごようですか」という意味らしい。

■ドタバタの後半、本物の取り立て屋（六平直政）が出てきたところからは名セリフの洪水である。「ここはお客様が食事を楽しむ場所です」「店が客を選ぶのではなく料理が客を選ぶのです」「大きな声は他のお客様のスープが波立ちます」　この回、前半は可笑しくてしょうがなく、このシーンあたりからはいつ見ても、涙腺が緩んでしょうがない。三谷のツボはここにある。

■結局この招かねざる客を追い払ったのは禄郎のあのジャケットだったというオチの付け方も爽快。お呼びでなかった白井君のせっかく眉毛を剃ってまで作った顔も虚しく、そして痛々しい。写真も撮ったが、これは自主規制します。

■「新選組！」と、この「王様のレストラン」、どっちが傑作かという議論は不毛。どちらもそのドラマに期待されているもの（かたや大河ドラマ、かたや民放のワンクール）にこたえるという意味では最善の仕事に見えるし、その期待を上回る満足感を提供してくれている。それにしても、この「王レス」における服部さんの音楽の素晴らしいこと、セリフ抜き音楽のみバージョンもDVDに入れてくれてもよかったんじゃない。（まあ、副音声の三谷とゲストのおしゃべりも楽しかったけどね）

■音楽と言えば、ラストのエンドロールのバックに流れるのはあの平井堅の「Precious Junk」。当時カラオケでこの曲を選んでも、誰も彼のことを知らなかった。それが今ではねぇ。昨日の朝日の夕刊の三谷のコラムに平井堅とカラオケに行った話が出ていた。そしてその他のメンバーが、椎名林檎、清水ミチコ、クリスタル・ケイ、一青窈、そしてぐっさんだって。その様子ってお金出しても見てみたい気がするぞ。

付録　各回タイトル　出演者

第一話　この店は最低だ 　
第二話　復活への第一歩 　
第三話　ヤメてやる、今夜 　
第四話　偽りの料理の鉄人
第五話　奇跡の夜 　
第六話　一晩だけの支配人
第七話　笑わない客 　
第八話　恋をしたシェフ
第九話　長い厄年の終り
第十話　去る者、残る者
最終話　奇跡

千石　武　（47）　　松本幸四郎　　ギャルソン　　　　　　　　　　
原田　禄郎　（24）　筒井道隆　　パトロン　　　　
磯野　しずか　（30）　山口智子　　シェフ・ド・キュイジーヌ
三条　政子　（28）　鈴木京香　　バルマン後にマダム
水原　範朝　（35）　西村雅彦　　ディレクトール
梶原　民生　（47）　小野武彦　　メートル・ド・テル
稲毛　成志　（33）　梶原善　　パティシエ
大庭　金四郎　（36）　白井晃　　ソムリエ
和田　一　（29）　伊藤俊人　　コミ
畠山　秀忠　（30）　田口浩正　　スー・シェフ
佐々木　教綱　（22）　杉本隆吾　　プロン・ジュール
ジュラール・デュヴィヴィエ　（24）　（ジャッケー・ローロン）　　ガルド・マンジェ　



← please vote!