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カテゴリ:音楽
1, Lark's Tongues in Aspic, Part One 2, Book of Saturday 3, Exiles 4, Easy Money 5, The Talking Drum 6, Lark's Tongues in Aspic, Part Two ■暗黒系なんて言葉があること自体知らなかった。近年、若者たちのカテゴライズはますます進み、それぞれが居心地の悪さから脱しようとする工夫があちこちに見られるという事か。それにしても○○系なる言葉は、そこに固まる者たちがいくら胡散臭い者たちであろうが、いくらかスマートな印象すら与えて便利な言葉を編み出したものだなんて感心してしまう。 ■それでは暗闇にふさわしい音楽にはどのようなものがあるのか考えていたのだが、漠然とした不安感を表しえるものとしての歪んだ弦楽器、脈打つ鼓動を映しだすかのようなドラムの響き、そんなあれやこれやが一枚に詰まっているのがこの「太陽と戦慄」ではないだろうか。 ■King Crimson 5枚目のアルバムにあたる本作は大幅なメンバーチェンジを経た最初のアルバムである。 ラインアップはRobert Flipp(guitar)・David Cross(Violin)・John Wetton(bass・vocal)・Bill Brufford(drums)・Jamie Muir ( Percussion)。 リマスタリングされたCDの音を聞いてまたビックリしているところである。とにかく1曲目と6曲目の「太陽と戦慄」Part1とPart2が凄い。よく言われる事だが、このCDは最初から10時くらいのボリューム位置で流し始めるとちょっと大変な事になる。まあ、防音設備を備えて心の準備ができている人以外は冒険はしない方が良い。それくらいダイナミックレンジの広いすごい音世界だ。 ■このアルバムを自分のテーマソングだなんて思っている人は結構多いのではないか。それだけ内面に向かってくる音だし、心象風景を映してくれるような音だ。個に向かって響いてくる分、他の誰かと共有しようなんて思わない。ひとりひとりがヘッドフォンでこの世界に埋まってしまうような、閉じこもってしまうような音楽だ。第一印象は衝動に溢れた音に聞こえるのだが実際には綿密に計算された衝動表現なのであろう。 ■ギターの爆音リフと超絶ドラム。歪んだベースと不安なバイオリン。そんな4人の母体に強烈なアクセントをつけているのがパーカッションのJamie Muir のプレイ。この人はこの作品のみに参加した、なんか危ないアーティスト。即興演奏という面でRobert Flipp や Bill Brufford に強い刺激を与えている。耳をすますと本当に色んな音が聞こえてくる。残念ながらステージで怪我をしたらしく、以降は音楽活動から足を洗ったという。 ■邦題の「太陽と戦慄」はよくわからないがすっかり定着した名タイトルだと思う。直訳は「ゼリーの中のヒバリの舌」。具体的な料理をイメージするも良し、抽象的な性的イメージを連想するも良し。太陽と月をデザインしたジャケットも印象的。夢に出てきそうな「宮殿」、有名な三裂星雲「アイランド」と共にクリムゾンの代表的なジャケットだと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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