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カテゴリ:音楽
![]() 02 God Must Be A Boogie Man 03 Funeral 04 A Chair In The Sky 05 The Wolf That Lives In Lindsey 06 I's A Muggin' 07 Sweet Sucker Dance 08 Coin In The Pocket 09 The Dry Cleaner From Des Moines 10 Lucky 11 Goodbye Pork Pie Hat ■このアルバムのジョニ・ミッチェルを聞くと恐山のイタコを想像してしまう。それは彼女の弾くギターが津軽三味線を思わせ、チャールズ・ミンガスを降臨させてしまったかのようなイメージを私にもたらすからである。 ■実はこのアルバムからジョニ・ミッチェルを聞き始めた。全6曲の合間に生前のミンガスの肉声を挟む形式は、見方を変えれば、ジョニとチャールズの「ダブル・ファンタジー」に聞こえなくもない。あの作品でヨーコの部分を飛ばして編集して聞いていたのと同じように、ここでも私は彼女(ジョニ)の歌う楽曲だけをつなげて聞いているわけだ。 ■とりわけジョニ自身が書き上げた2曲、M2「God Must Be A Boogie Man」とM5「The Wolf That Lives In Lindsey」が好きだ。彼女の弾くギターは完全に打楽器化していて、”バシャーン””ガシャーン””バシッ”という破裂音を曲に与える。では、そのメロディを誘発する部分はというと、なんとリードギターのようなベースの旋律がそれにとってかわっている。その(リード)ベースギターを弾いているのはもちろん、ジャコ・パストリアスなのだ。このベースのうねりの聞いたこともないような調べは一体なんなんだ。 ■ジョニ・ミッチェルが恋多き女性であるというのは有名な話で、グラハム・ナッシュ、ロビー・ロバートソン、そしてこのジャコ・パストリアス。彼とのコラボレーションがこの作品において色濃く影響している。ミンガスの書いたメロディにジョニが詞をつけ歌いあげるという彼女のキャリアの中で最もジャズフォーマットに近づいたこの楽曲たちを成立させるためには彼のサポートは不可欠でもあった。ましてその他のメンバーも<サックス>ウェイン・ショーター、<ピアノ>ハービー・ハンコック、<ドラム>ピーター・アスキン。その分野の最高峰の職人たち勢揃いの感だ。 ■時としてウェイン・ショーターのサックスと同化してしまうかのような彼女のボーカルがすごい。まるで楽器の一部のようにも聞こえてくる。M11はジェフ・ベックが「ワイアード」でもとりあげていた楽曲。なるほどこう歌ったか。M5では手練れのミュージシャンたちのバックコーラスとして本物の狼の声も出現する。 ■このアルバムを機に、さかのぼって彼女の作品を聞き始めたのだが、そうすることによってこの作品の異色度が殊更際立つ。彼女の代表作と言えば初期の「Urge For Going」(名曲!)であろうが、キャリアの中で二度と同じアレンジを繰り返さないというのも彼女のこだわり。常に変化し、スタイルを変えていく様は女性版デビッド・ボウイである。バンドの「ラストワルツ」で歌う彼女とこの作品の彼女が同一人物であるということ自体が奇跡だ。 ■彼女は音楽面だけでなく、絵画的才能にも秀でている。ほとんどのアルバムジャケットが自らの手によるものだ。この「ミンガス」もしかり。彼女の描いた裏ジャケットの車椅子に乗った、かつての直立猿人の後ろ姿はこの作品の余韻を一層際立たせているように見える。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/27 09:55:05 PM
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