|
カテゴリ:音楽
![]() 03 街の灯 04 天才とは 05 瞬間で 06 魔法を信じ続けるかい? 07 どこにいる 08 ここにいる 09 まる・さんかく・しかく 10 天才たち 11 いっせーのせっ! 12 謎 13 いつか 14 永遠なるもの 15 犬と猫再び ■そもそも金字塔という言葉はピラミッドが「金」の字に似ているところからつけられた名前らしい。転じて、長く後世に伝わるような優れた諸作や業績を表す言葉として定着することになる。 ■セブンスターを一本立てかけて、それを青空をバックに下から見上げれば、空に聳え立つ孤高の塔に見えなくもない。わたしには被写体を必要以上に綺麗に見せる芸術的な才能はないが、撮る人が撮れば、ただなんとなくそこにあるものが、すごく意味ありげに屹立してくることがある。それは状況の切り裂き方の問題なんだと思う。 ■中村一義の作品における佐内正史氏のフォトグラフィは彼の作品を外側から支える功労者だ。彼のファインダー越しに切り取られた風景は音と言葉だけでは伝えきれない中村君の気分を補足する働きを担っているように思える。実際このアルバムを聞きながら歌詞カードを読んでいると、その詞の世界で広がるイメージをある一定の方向に導く役割をこのアートワークは果たしている。 ■たとえばM7はテープレコーダーを持って部屋から街に飛び出した彼が駅、喫茶店、公園、土手を巡ってまた自分の部屋に戻ってくるというだけの非音楽的な街のノイズで構成されているのだが、目をつむってその音だけを聞いていても、ある程度そこに映る風景が見えるような気がするのは、誰にでもそんな一日があったからなんだと思う。 ■アコギをバックにしたモノローグから始まり、明瞭ではないそのボソボソしたつぶやきに耳をすましていると、いきなり「どーぉ?」というビートに乗った大音量の問いかけが始まる。おそらく、このアルバムに愛着がある人の半分はヘッドフォンで音楽を聴く習性がある人たちだと思う。 ■高すぎる声が、嘆きとか叫びにも聞こえる。そんなに絞り出すことはないよと声をかけてあげたくなるほど、時々痛々しくも聞こえる。そこで生まれてくる聴き手の感情は強烈な共感なんだと思う。ある特定の時期には守ってあげたいと守ってもらいたいが交互に押し寄せてくる音楽なのかもしれない。ベールに包まれていた頃の中村君にはそんな神秘的なムードがたしかにあった。 ■これより何年か先、武道館で100sを従えてライブを行った彼のコンサートのDVDがある。歌いながら感極まって泣いてしまうミュージシャンを久しぶりに見た。音楽で救われたのは彼のファンの方ではなく、むしろ彼自身だったのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽] カテゴリの最新記事
|
|