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カテゴリ:音楽
01. ひこうき雲
02. 曇り空 03. 恋のスーパー・パラシューター 04. 空と海の輝きに向けて 05. きっと言える 06. ベルベット・イースター 07. 紙ヒコーキ 08. 雨の街を 09. 返事はいらない 10. そのまま 11. ひこうき雲 ■NHK-BS2で「Master Tape」を見る。ユーミン持参のデビューアルバムのマスターテープを久方振りにレコーディングスタジオに持ち寄り、当時のスタッフ、ミュージシャンとあの名盤を聞き直すというファンならずとも真剣に見入ってしまう好番組。 ■ユーミンの他にかけつけたミュージシャンは遊民亭主、細野晴臣、林立夫、駒沢弘城。事情があってギタリスト1名は欠席だったが、荒井由実の成功はこのキャラメルママの存在なしにはありえなかったわけで。 ■ミキサー室には当時のスタッフであるディレクターの有賀氏、エンジニアの吉沢氏のふたり。70年代初頭に当時、誰も聞いたことのなかった日本人によるポップスを創りあげた影の立役者たちの耳と指の技を堪能した。 ■複数のトラックから、ボーカルパートのみ、ベースパートのみ、パーカッションパートのみの音源を再生してみるという試みがとても面白かった。特にM2の松任谷正隆のコーラスの渋さ、M5の細野のナイロンギターの音の良さ、M9の抜群のベースラインなど、そこだけとりあげると鳥肌ものの隠れた名演に聞き惚れてしまった。 ■「ひこうき雲」と次回作になる「ミスリム」にはすごくモノトーンの荒井由実の印象がある。しかしそれはバックの演奏の目立ちすぎない非存在感に起因している。彼女の声をひきたたせるため、プロの名手たちが実に渋く脇を固め支えている。またジャケット写真の印象も派手以前のユーミン像を補足しているような気がする。 ■何十年もたってから、当時の演奏にみんなして聞き耳をたてて、あの頃のことを語り合ったり懐かしがったりできるのは何十年もそれをやり続け通したミュージシャンたちの特権である。40年前の自分のプレイをそこだけ何回もリピートさせてもらって聞き直した時の感慨はいかがなものか。駒沢氏などはずっと残っていた引っかかりを払拭するためにあらたに今回、自分のパートの演奏をやり直していた。 ■当時を再現したスタジオに彼らが入っていった時、彼女は黙ってピアノの前に座り、彼はベースギターを自然に弾き始め、彼と彼もそれぞれ、ドラムセットとキーボードの前に腰を下ろした。何の前触れもなく彼女が弾き出した「ひこうき雲」に彼らの演奏がかぶさった時、時代が一足飛びに巻き戻された。肝心な部分で彼女の高音が再現できなくても、この名演は永遠である。ひとり足りないギタリストが戻ってきた時、またどこかのスタジオで同じスタッフによってこの曲が録音される奇跡を願って。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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