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カテゴリ:音楽
01. 生きる
02. 電波通信 03. シーズンサヨナラ 04. 勝ち戦 05. FOUL 06. 雨天決行 07. 能動的三分間 08. 絶体絶命 09. FAIR 10. 乗り気 11. スイートスポット 12. 閃光少女 13. 極まる ( きまる) ■今回のバンクーバー五輪にちゃっかり便乗した小説が東野圭吾の「カッコウの卵」であるなら、その音楽編はこの東京事変の「スポーツ」なのかもしれない。 ■5人の顔が刻印された金メダルがいったいどれくらいの数量作成されたかは知らないが、それを誇らしげに胸に掲げるのは彼ら自身であって聴き手のわたしたちではない。 ■スポーツに様々な種目があるように音楽にも色んな形があり種類がある。わたしたちが東京事変に期待するものは椎名林檎というアスリートがいかに高く歌うか、いかに速く歌うか、いかに巧く歌うかという部分的な興味であり、最終的にはいかにそれがかっこいいかを見定めることにあるのだと思う。 ■全13曲のタイトルを並べてみると「能動的三分間」を中心にして相変わらずシンメトリー(左右対称)な構成となっている。今回はそれが字数だけでなく、漢字、ひらがな、カタカナ、送り仮名、英字というところまで念入りにこだわっている。 ■それがブックレットの冒頭にトーナメント表の体裁で載せられている。いわく、AブロックはM1からM4、BブロックはM5からM9、CブロックはM10からM13。その12曲になぜかM7だけがスーパーシードの如く、Aブロックを勝ち抜いた1曲と準決勝でぶつかるようになっている。 ■1回戦屈指の好カードはM1vsM2,及びM12vsM13であろう。それを勝ち抜いた楽曲が第1シードM7との三すくみで晴れて金メダルの栄冠を勝ち取ることになるだろうというのがおおかたの優勝予想になる。 ■でもさ、番狂わせあっての一発勝負であり、一見地味なM3とかM8あたりも運が良ければ強豪を打ち破って勝ちあがっていく可能性もありうるわけで。 ■スポーツマン・シップとミュージシャン・シップを比較してもどうしようもないが、そこ(表現の舞台)に辿り着くまでどれだけ協調して練習を重ね、見せる技、聴かせる技を磨いていくかという部分においては両者はかなり似通っているものと思われ。 ■キム・ヨナや真央ちゃんが体現してくれたものとこの一枚のアルバムを重ね合わせて聞いてみる。緩急があって、要所要所には難易度Sクラスの超絶技巧があって、曲と曲のつなぎ目は相変わらず一瞬の刹那で、トリプルアクセルみたいな見せ場も、華麗なステップみたいな聞かせどころもちゃんと張り巡らされている。 ■ただちょっと違うのは誰が見ても美しいと感じるものと誰かにとってかけがえのないものの差みたいなものなんだと思う。椎名林檎の曲を聞いて、いつまでも追いつけないと感じてしまうのはその歌詞の必然がいつも遅れてやってくること、またはそのメロディの必然が何度も聞かないと身体に沁みついてこないことにある。潔いがスポーツの極意であるのならば、効き目が長いのが優れた楽曲の特徴なのではないかなんてちょっと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/03/02 10:42:38 PM
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