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テーマ:今日聴いた音楽(73998)
カテゴリ:音楽
01.新世紀のラブソング
02.マジックディスク 03.双子葉 04.さよならロストジェネレイション 05.迷子犬と雨のビート 06.青空と黒い猫 07.架空生物のブルース 08.ラストダンスは悲しみを乗せて 09.マイクロフォン 10.ライジングサン 11.イエス 12.橙 13.ソラニン ■佐野元春の THE SONGWRITER で見た後藤君はとてもロックをする人には見えなかった。どちらかといえばロックを聞く人、それを批評する人のようだった。ヘッドフォンはするけど、ギターを持って歌うようなパワーとか気概みたいなものはちょっと感じられない。 ■アジカンの初期作品群にはずいぶんお世話になった。ギター2本にベースとドラム、それが何を歌っているのかはともかく、ロックバンドかくあるべきというようなかっこいいギターフレーズと骨太リズム隊の爆音が身体も頭も揺らしてくれたことは事実だ。 ■そんなバンドの楽曲のほとんどを手がけているのがギターとボーカルの後藤正文。彼の書く詞は全て縦書き。そしてメジャーデビューから一貫して英語を意識的に排除し、日本語のみの詩作にこだわる。 ■佐野元春がテキストに選んだのがこの新作からの「さよならロストジェネレイション」。従来のようなソリッドなギターが奏でるイントロは省略して、言葉が前面に押し出されたまるで語りのようなボーカルスタイル。ちょうど四半世紀くらい前に佐野氏自身が取り入れたスタイルに似ていなくもない。 ■わたしはこの曲を含めてM1,M7の3曲がこのアルバムのお気に入りである。初期作品に比べてボキャブラリーが激増し、歌詞の中に入れられない言葉の制約みたいなものがなんだかとても薄くなっているように感じる。 ■反面それが饒舌であることも確かで、なにもそこまでひとつの作品に意志や物語や心象風景を詰め込まなくてもいいのではないかと思わせるぎゅうぎゅう詰め感もないわけではない。ひょうひょうとすっとぼけていられる井上陽水とか奥田民生の作風とは真逆の几帳面さが滲みでているとでも言えば良いのか。 ■ゼロ年代が終わって10年代が始まったわけだが、その10年の幕開けに際し、後藤氏自身として、そしてバンドとしての決意表明みたいな作品がこれなのではないかと思う。なんとなくゼロ年代に生まれ落ちたバンドとしてのアイデンティティの希薄さを何か自分の色で塗りつけてみたいと思ったのがこの作品の生まれ出る動機だったのではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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