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テーマ:今日聴いた音楽(73998)
カテゴリ:音楽
01. オーブル街
02. 世界の涯まで連れてって 03. 時には母のない子のように 04. Love Me Tender 05. Thatness and Thereness 06. ふしぎな日 07. どこかで 08. 素晴らしい人生 09. 青年は荒野をめざす 10. 夢で逢いましょう ■Five Finger Discount、五本の指のディスカウントで万引きという意味だそうだ。たしかUAも「カバ」というタイトルのカバーアルバムを出したばかりだが、その発想とシンプルなイラストジャケットという点では、この2枚には共通点がある。 ■Phewといえばパスレコードから坂本教授プロデュースで80年に出た「終曲」の衝撃はすごかった。ようこそいらっしゃいいつでもどうぞ。同じようこそでも清志郎のそれとは違い、歓迎も感嘆も迎合も何も感じられず音階さえもその歌には無いように聞こえた。 ■その時あの曲に感じた前衛みたいな空気は例えれば寺山修司的な世界にすごく近いと思ったのは、このアルバムのラインアップを見てからだ。しかし実際に聴いてみたM2とM3はオリジナルの詩情をぶっとばすほどの精気に満ち満ちていた。 ■万引きされたその他の曲は加藤和彦作品が3曲(M1,M6,M9)、昭和歌謡の御大、中村八大先生の曲が3曲(M7.M8,M10)、残りの2曲はプレスリーと坂本龍一。60年代、70年代が青春だったクチからすれば、必ずどこかで聞いていたであろう10曲だ。 ■ほとんど全曲に参加しているジム・オルーク(ベース)、石橋英子(ピアノ)、山本久士(ギター)、山本達久(ドラムス)の演奏能力によるものだと思うが、ひとつひとつの楽器の音の緊張感が尋常ではない。それがソロでヒリヒリ鳴り響く前の空気感も良いが、それらが爆音で鳴りやまないM2やM9の洪水みたいなサウンドもすごい。 ■近頃流行のささやき(ウイスパー)でもつぶやきでもない。相変わらずの音程非重視で声質もかなり独特。ほぼ全曲どの曲も複雑な余韻を残すが、Love Me Tender と夢で逢いましょうがすごい。前者はその声の性別がわからないくらい出所がわからない声だし、後者は自分が背負われながら聞かされる子守唄のようだ。 ■「終曲」を聞き終えた後に残ったずしんと重い後味とは違った潔さを感じる。たとえそれが夢に出てきそうな怖い話でも、二度と聞きたくないようなおどろおどろしさとは一線を画し、もう一度その世界に身を置きたいと感じさせられるような一枚。それはちっとも怖いもの見たさとかではなくて、強いてい言えば美しもの見たさに近い。これはもう Cover Album というより、Discover Album だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/09/25 10:29:40 PM
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