|
カテゴリ:真田丸
■室賀正武という武将のキャスティングにあたり、三谷幸喜はこの役を演じられるのは西村雅彦しかいないと考えていたのだと思う。戦国的知名度で言えば知る人ぞ知るという存在ながらこの物語の序盤の展開において欠かすことのできない人物を時に憎々しく、時に愛らしく重厚に演じた彼に助演男優賞をさしあげたい。
■前回あたりから草刈正雄がやたら碁盤から離れようとしなかったのはこの祝言の席での対局への布石だったわけだ。オセロも囲碁もよくわからない私にはこの最終決戦の勝ち負けの結果は知る由もないが、もし多少の知識があったとしても小刀が邪魔をして碁盤の目は読み取れない。 ■こわっぱの逆襲というわけではあるまいが、彼の暗殺に深く関わったのが大泉洋だという見せ方は巧い。(もちろん全ては真田昌幸のシナリオなのだが)病弱の妻(毎回彼女の登場が楽しみ)も彼の思惑をとげるため捨て身の踊りを披露するという流れも愉快。そしてそこにいる必然性の全くない長澤まさみがその一部始終を目撃するという展開も見事。しかし室賀はそこがアウェーの地であるということを忘れていた。勝ち点1で良かったのに。 ■すべては真田一族のため。神聖な祝言の場も策略の為に利用し、勢力争いのためなら純粋な若者の心も簡単に踏みにじる。この日、新郎になった者は本当は誰も私たちの結婚なんか祝ってくれているわけではないのかと心労が絶えない。 ■連想したのは「ゴッドファーザー」で、あの映画も結婚式のシーンで始まり、次から次へと裏切り者が現れ、ファミリーを守るために多くの暗躍があり、たくさんの者が犠牲になった。戦国時代のアル・パチーノは自らの青春に終止符を打とうとしている。ジェームス・カーンほど血の気は多くはないが、長男もまた偉大なパパに必死についていこうとしている。そして首領(ドン)マーロン・ブランドは孫の顔でも見ない限りはまだまだ現役感全開で周囲の者を煙に巻き続けるのだ。 ■室賀をたきつける家康と本多正信の調略に始まり、祝言を叶えようとする信繁の策略をユーモラスに見せ(あの高畑淳子アロマ作戦には笑った)、梅ときりのふたりの女の戦いを映し、祝言での緊迫した昌幸と室賀の心理戦を描いた今回は序盤のピーク。 ■梅に対して生涯お前の他に妻はとらないと純愛を誓う信繁を映しながら、実は側室を4人とったと事務的口調で語る有働ナレーションに笑う。前回の大河では封印したこの様式であるが、今回の使用は本編で抑えた分を発散するギャグ仕様になっているのかもしれない。 BGM 「Old Friend」 Simon & Garfunkel お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/03/20 11:23:09 PM
コメント(0) | コメントを書く
[真田丸] カテゴリの最新記事
|
|