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カテゴリ:真田丸
■場面(シーン)の数が少なくなればなるほど、三谷幸喜の筆は冴える。ただし、時は戦国、主人公は真田信繁となると、信州の山奥でそこに住む人々だけを描いていたのでは大河にならない。それでも、今回は大坂城に多くの人が詰めかけて来てくれたおかげで、一幕ものとはいかないまでも、たくさんの見せ場があった回のひとつだろう。
■母の日だからというわけでもないとは思うが、草刈正雄に上洛の決断を踏みきらせたのは草笛光子の言葉だった。もちろん上杉側の直江景次のやたら声の良い恫喝がきっかけとはいえ、卑怯者でなぜ悪いというこの母のセリフは400年後の映画「仁義なき戦い」にも相通じる実に格好いいキャッチフレーズだったと思う。 ■人を不快にさせる名人ジブさんという描き方はかなり徹底されてきて、彼の登場シーンに今度は誰にどんなディスり方をするのだろうかと期待して見ている自分がいる。この人が愛想笑いなどし始めたらこの物語も終わりに近づく証拠だろう。でも奥に突っ込まれたはずのあの臭い立つ戦国風ダウンジャケットを秀吉が着用して現れた時は笑った。 ■どうやら真田家の人々は再会を果たした時には相手の頬を片手ないし両手でパタパタやるのがお決まりの挨拶のようだ。藤という名前になってしまっていた松ねえさんが父と弟たちに本気でパタパタするきっかけとなったのは第4回で描かれたガールズトーク(潤いが足りないと踵にひび割れができる)だった。この伏線回収まで14話。そして今また長澤まさみの踵があれな理由は来週の予告でもあるわけか。 ■秀吉がいたから家康がいたから戦国時代が終わったわけではない。もうその制度自体が疲労困憊になり、立ち行かなくなった時にそういう人物が現れたということなのだろう。いつの時代にも権力に取り入るのが上手な人がいて、そうでない人もいる。 ■真田信幸がどこで間違えたのかと言えば、それこそ大泉洋が言ったように生まれてきた時代だったのかもしれない。でももう少し早く生まれていたらこんなに長く生きてはいられなかったかもしれない。たしかにプライドは傷ついたかもしれないが、死んでしまえば御終いなわけで、結局はこの時代に生を受けたことに対し特に今日は母に感謝すべきだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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