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カテゴリ:真田丸
■キャストの名前に女性陣はただひとり、それも史実の中では架空の人物的な扱いの長澤まさみのみ登場という第22回。戦国時代の裁判劇はそんな男たちのどす黒い思惑と策略に満ち溢れた濃密な45分だった。
■裁判官による開廷の儀式も省略され、いきなり江雪斎の弁舌で物語は始まってしまっている。沼田城をめぐり、北条と真田、どちらにその所有権があるのかを決する裁定。真田側の名代として己が権利を主張するのは若き信繁。胆力には自信があるが、おにぎり(極小)2個だけではいささか心もとない。 ■裁判官豊臣秀吉の前で交互に発言する江雪斎、信繁ふたりの論法はすごく現代劇風にアレンジされ、まるで「相棒」や「リーガル・ハイ」を思わせるような丁々発止。ご丁寧にプレゼンテーションソフトのような解説図まで小林隆に用意させ、傍聴席に座る我々にもこの裁判の骨子を理解させるのを容易にした。後にも先にもこんな大河はないだろう。 ■ちょっと前なら問答無用とばかり武力をもって欲しいものは奪い取ればよかった。ちょっとばかり矛盾していても、戦闘に勝てば文句は言わせなかった。しかし秀吉が天下をとったこのご時世、戦いの形は明らかに変容している。豊臣にとって都合の良いことが善でそうでないものは悪になる。 ■よって正しいか正しくないかを裁定するこの裁判に勝った負けたのカタルシスはない。秀吉の(石田三成の)目的は北条氏政の上洛であり、沼田城の所有権など、はなから真田に譲る気持ちなどない。そんなあらかじめ決まっていた豊臣側の裁定に乗せられて真剣にやりあう山西君と堺君の、そしておにぎり(特大)のおかげでそれを理知的に判定した秀次役、新納君の純情が痛い回でもあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/06/05 10:52:08 PM
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