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カテゴリ:真田丸
■朱(赤)をひいたら豊臣側、黒をひいたら徳川側、紙縒りでどちらにつくかを選択する方法はたしか第2回「決断」でも描かれていたわけだが、あの時は真田家が北条につくか、上杉につくかの分かれ目だった。
■この期に及んで、どちらをひいても朱が出るようになっているいかさまくじを息子にひかせる父親もどうかと思うが、今までだったらおっかなびっくりそれをひいて一喜一憂していたはずの長男は、父親に向かって何度も何度も私は決めましたと大声を張るようになっていた。そんな姿はもう全然小童(こわっぱ)には見えない。 ■息子たちが父親を超える日。前回良き息子(たち)を持ったと喜んだ父親は真田家のために3人が肩を組みさえすれば、徳川を出し抜き失地を回復することが可能だと信じていた。しかし、長男・大泉洋が選んだ決断は自分が徳川側に、そして父と弟は豊臣(石田三成)側につくというものだった。いわく、どちらが勝っても真田は生き残ることができる。父に向かって夢物語は終いにしてくれと叫んだ次男・堺雅人同様、息子たちの時世を読む力は父のそれをこの時点で上回っているように思う。 ■この犬伏での今生の別れがそれほど悲しく見えなかったのは、その先の話が希望を持って語られていたことと史記の韓信の背水の陣の挿話が素敵だったことによる。父親を乗り越えたように見えた息子たちがまたその父親を持ち上げ、その老獪さをひきだすことによって彼の寂しさを中和させる。そんな複雑な感情も草刈正雄だから見ているこっちも感情移入できると言ってもよい。 ■今回この犬伏の別れよりも揺さぶられたのは前半で描かれた大谷吉継の石田三成への友情の厚さ(熱さ)の方で、弱気な治部を前に瀕死の刑部がお主をわしが勝たせてやると檄を飛ばす必死の様子にえらくうたれた。刑部の読み上げる訴状を懸命に書き写す三成のそれはつい先日秀吉に遺言を書かせた彼自身の叱咤と二重写しになる。もう見えないはずの目で泣いている暇などないと言い張る刑部には治部の全てがお見通しなのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/09/04 10:59:12 PM
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