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カテゴリ:スケート/体操
実は女子フリーでいちばん心がうちふるえたのは、競技の中継が始まる前だった。NHKのスタジオ。ゲストの太田由希奈が紹介されたそのとき。あの怪我さえなければ、とはファンなら誰しも思うところ。世界中の誰とも違うそのスケートで表彰台に上がっていたのはユキナ、あなただったのではないかと。氷上のバレエという言葉がただの形容ではなく息づいているかのような音楽性と美しさ、豊かなニュアンス。
4回転を決めた安藤を抑えてジュニアの世界チャンピオンになり、トリノの代表最有力候補と言われながら、柔らかすぎる足首が仇となり怪我で引退同様の状況に。アイスダンスへの転向も視野に入れつつアメリカでリハビリと練習を重ね、再び女子シングルへ復帰。バンクーバー代表を目指すも3回転の確実性は戻らず、昨年アマチュア引退、現在はアイスショーや子どもへの指導中心に活動する太田選手…太田さん。でもあのスパイラルが、あのレイバックイナバウアーが(荒川の堂々としたあれとは別の趣の、たおやかなそれ)ショーへ行けばまた見られるのだから、それで良しとするべきなのでしょう。 安藤選手たちとライバルとして戦ってこられた云々と紹介されてもにっこり微笑み、はんなりとした京都なまりで嬉しそうに丁寧に受け答えをする太田。ああ彼女の中ではもうしっかり時計が動いているのか。懐かしい世界であっても、彼女の生きる場所は別のところにきちんとある。 昨日はうっかり書き忘れたが、長洲未来のこわいものしらずの滑りは見ていて胸のすくものだった。今回は出場し損ねたキャロライン・ジャンと共に、ソチまでの4年が実に楽しみ。しかしマスコミはミライ・ナガス表記をすべきではないの。アメリカ生まれのアメリカ育ち、ミドルネームはアイリーンですよ、彼女。親御さんが日本人だから日本国籍を持っているわけだけど、演技を見ていると、やっぱり氏より育ちねと思います。クリスティはシニアに行ってメイクを変えるまでは箱入り大和撫子そのもので、ヤマグチよりは山口と書きたくなったけど。 東洋系の選手の活躍があたりまえになるにつれて、西洋の美の基準から少しずれるところにある他の人種の選手への芸術的評価も、だんだん正当になされるようになってきているようで良かった。審判もそうだし観客もね。いろんな美しさを享受できるよう感性に幅ができるのは素敵なことだし、お互いに素敵だと思えば仲良くもしやすいし。 そう言えば、真央マオの顔は木彫りの観音さまか天人みたいと言えなくもないのだから、いっそぐっと東洋的なプログラムを組んでみるのはどうだろう。音楽はシルクロードでいいじゃない。喜多郎でもSENSEでも。クラシックにこだわることないと思う。胡弓なんかも合いそうだ。ちょっと横笛も入れたりして。衣裳はガンダーラの石仏を参考にする感じで。 今回の五輪、採点はカナダの選手、カナダを拠点に練習する選手、カナダ人コーチについている選手に下駄を履かせたんじゃないかと勘繰りたくなるような曖昧さが終始つきまとっていたのが残念でしたが、それでも各選手はそれぞれに素晴らしかった。あとは明日のお祭りですね。楽しみ。 ↑よかったら押してください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.02.27 14:38:19
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