サリーのこけももつみ
昨日のつづきでマックロスキーをもう少し。 彼の作品の中で大きい部分を占める、自分の子どもたちを描いた作品群―――物語性の強いその他の本と一線を画す日常もの、そこでは非常に詩的な世界が広がっている。『すばらしいとき』の冒頭で父親(作者自身)が娘たちに語りかける。「みてごらん、世界のときがゆきすぎるのが みえるから」…そう、この三部作の隠れた主題は時のめぐり、永遠なのだ。 マックロスキーの絵の魅力はまず、なんといってもその写生の力。デッサンの上手さは言わずもがな、店の看板から道端の草まで、マックロスキーの筆は拾い、描きつくす。生きとし生けるものからそうでないものまでみな、画面の中に呼びこまれ、そこで息づく。メイン州には今も、サリーがお母さんと「こけももつみ」をした丘(ブルーヒル、というらしい)、お父さんと寄った修理工場がそのままの姿で残っているそうだ。ちなみにお母さん=マックロスキー夫人はルース・ソーヤーの娘さんだそうで。うらやましいぞサリーとジェーン。 そんな日常のつみ重ねの中に作者は永遠を見る。人生の秘密というものは、一見なんでもないようなところに転がっているんだよ、とお父さんは語りたかったのかもしれない。細部に神は宿る。にこにこしてしまうような描写の続く『サリーのこけももつみ』にしても、季節はめぐるということ、その時の流れと大自然に抱かれて人の子もクマの子も大きくなっているのだということが底流にある。おいしい水のように心の中にしみとおっていくその思想性。ああ、メイン州はソローの愛した土地でもあった。サリーのこけももつみ価格:1,785円(税込) ロバート・マックロスキー 作絵 石井桃子 訳 岩波書店海べのあさ価格:1,785円(税込) ロバート・マックロスキー 作絵 石井桃子 訳 岩波書店すばらしいとき価格:1,575円(税込) ロバート・マックロスキー 作絵 渡辺茂男 訳 福音館書店 ヨットに乗る子どもの幸福感、児童書ならもちろんランサムだけれど絵本なら断トツでこれ。こんな夏休みをお父さんと過ごしたい!と思わない子どもはいないだろう。『火のくつと風のサンダル』もいいけれどあれは物語、これはほんとにあったことと知れば、ますます羨望の眼で見てしまいそうだ。日本でこれに比肩しうるものはあるだろうか。ちょっとひねったところで大島弓子の『毎日が夏休み』を挙げてみる。あの子はもう高校生だけれど。大島弓子が選んだ大島弓子選集(6)価格:1,000円(税込) 大島弓子 メディアファクトリー MFコミックス 収録作「秋日子かく語りき」「夏の夜の獏」「ダイエット」「毎日が夏休み」他火のくつと風のサンダル価格:1,470円(税込) ウルズラ・ヴェルフェル作 関楠生訳 童話館出版 子どもの文学・青い海シリーズ【22%OFF!】世界絵本箱 かもさんおとおり価格:2,293円(税込) DVD 世界絵本箱 収録作「かもさんおとおり」「すばらしいとき」 「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」 ↑昨日紹介したのと同じシリーズ。この巻はどれもマックロスキー作品。アメリカで作られたシリーズなので、2ヶ国語対応。↓よろしかったら押してください