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携帯電話を使って大学入試で不正行為をしたというニュースについて,もう少し書いておこう.
「どこへ行く日本,政治に無関心な国民は愚かな政治家に支配される」http://ameblo.jp/warm-heart/ さんが,「予備校生逮捕が引き出したネット社会の到達点と重大な課題(2)」と題した3月7日の記事で,信濃毎日新聞の社説を紹介している.その社説「予備校生逮捕 背景にこそ目を向けよ」 http://www.shinmai.co.jp/news/20110305/KT110304ETI090013000022.htm をなぞりつつ,私の独断と偏見を述べてみたい. 今回の事件は,すんなり受け容れ難い要素を含んでいる.たとえば次のような問題がある. 1.受験制度や大学教育の仕組みの問題. 入試は一発勝負の面が強く,それに適合した知識と解答テクニックが必要となる.また今回の事例では,親に過度の財政負担をかけたくないという動機もあったらしい. 信濃毎日新聞の社説は,米国の制度を引き合いに出している.日本のように生徒に過大なストレスを与えるのでなく,米国では各人の都合に応じて無理なく進学,転学できる.大学入学の選別方法を,そのようなシステムに変えて行くべきだ,とも読める. 大学受験が「実力」だけで突破できるようなものでないことは,昔から言われている.いわゆる「進学」校では,高校で目標とされる到達点以上の,問題解法の技術,解答の技術を教えざるをえない.しかし,あくまで「高校」レベルであるから,いくら勉強しても,それ以上の進歩,学問的貢献などはありえない.高卒ないし受験生は,学問的貢献のできる年齢であり,そのエネルギーや能力をあたら受験のために浪費させてしまっているのが日本の教育の現状である.受験の制度は日本の教育制度,特に学校教育に,大きな「歪み」を押し付けている. また,難関大学への進学は,財政的ゆとりのある家庭の子女に圧倒的に有利にできている.日本では教育を受ける機会は,誰にでも平等に開かれている訳ではない. 多くの問題を含んでいるが,問題があまりに大きいと,解決に向けて実際に動き出せないかもしれない.そこで私は,とりあえず「筆記試験が過度に重視されている現状」を改善することを提案したい.筆記試験は何を評価しているのか.クイズ番組の正答率が高い人は,大学での良いパーフォーマンスが期待できるのだろうか. 2.「教育機関としての自覚」の問題 ある大学教員は「これだけで人生を台無しにすることがあってはならない,と話した.この気遣いがあるなら、受験資格停止など大学としての処分にとどめることもできたはずだ(信濃毎日新聞社説より). この発言をした大学教員は,少なくとも「大学は人を育てる所」という自覚がある.受験生を犯罪者として告発しようという京大当局は,教育者として失格である.京大がこれほどのゴミ大学だったとは,私もあきれてしまった. そもそも入試の「ルール」は「法律」の問題ではない.サッカーで選手がペナルティを犯したからといって警察を呼ぶのはバカである. 3.大学自治の問題. 自治が尊重されるべき大学が,事件発覚後すぐ警察に届け,法的手続きにまで踏み切ったこと. かつて京大は大学自治の象徴のような存在だったのだけど,もう昔日の面影はない.大学の「法人化」により大学が官僚の出向,天下り先となり,大学運営の現場での官僚の発言力が著しく強まっている,と指摘する人もいる. 4.サイトの運営会社と携帯電話会社の捜査協力は妥当だったか. 社説は次のように述べている: - 「通信の秘密」は憲法で保障されている。個人情報を開示することには慎重でなければならない。こうした捜査手法が当たり前にならないよう政府や国会の動向を注視したい。 全く同感である. |
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