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 きょうは軽自動車について書いてみます.

 軽自動車の歴史は,「スバル360」という車種を抜きに語れない.当時の法律は軽自動車を,排気量 360cc未満,4人乗りまで,と定めていた.クルマのサイズの上限も決められていた.技術的な根拠も何もない,おそらく文系人間が適当に数字を割り振っただけの法的基準であった.この小さなサイズに大人4人が乗って,しかも小さなエンジン.当時の技術では,およそ実現不可能と思われた.

 この不可能に挑戦したのが,もと中島飛行機の技術者たちだった.大戦中は陸軍のお気に入りとして,数多の名機を製造して来た中島飛行機は,戦後GHQにより小さな町工場に解体された.その町工場が5つ,6つ,と集まって,軽自動車の生産に挑戦した.こうして昔の仲間たちが再び心をひとつにして造ったのが,かの名車「スバル360」だ.

 すばる(昴)は牡牛座にある.オリオン座の「三ツ星」を右上に延長して行くと赤い星がある.これが牡牛座のアルデバラン.その右上にある黄色い「星」がプレアデス散開星団,日本語名を「すばる」という.じつは1つの星ではなく,小さな星が集まって大きな光になっている.小さな町工場が寄り集まって完成させた名車にふさわしいネーミングだった.

 クルマの設計には,かのポルシェ博士の著作が役立ったらしい.実際,スバル360はフォルクスワーゲンと似ている.リヤエンジン,後輪駆動,トーションバーを使った四輪独立懸架方式など.いずれも軽量廉価な国民車を求めたヒトラーの要望に応えたポルシェ博士の設計思想だ.そして本家フォルクスワーゲンが「かぶと虫」と呼ばれていたのに対し,スバル360は後日「てんとう虫」と呼ばれるようになる.スバル360は昭和33年3月という,記憶しやすい日付で発売された.

 最初に規格があった.その規格に合うようにクルマが作られた.一定の制限下で,それに適合するものを作る.制限内で実現できる最良のものを,ギリギリまで煎じ詰めて作る.そういう場面で日本の技術者は高い能力を発揮する.そういう意味でスバル360は,ある意味とても日本的なクルマである.

 スバルの技術者が目指したもう1つの目標がある.それは360ccという排気量にちなんで,クルマの売価を36万円にまで引き下げることだ.これは実現しなかったけれど,それまでにない廉価な価格設定になった.多分よく売れたのでないだろうか.こうしてスバル360と,それに続く軽自動車の系譜は,国民に自動車を普及させるのに大いに役立った.

 そういう輝かしい歴史がある.それが日本の軽自動車だ.日本がTPPに参加したら,軽自動車の税制優遇は「非関税障壁」と非難され,いずれ消滅するかもしれない.それはTPPがもたらす他の問題,たとえば国民皆保険の医療制度が消えることに比べれば,もとより小さな問題である.しかし軽自動車は,できれば消えて欲しくない規格であり,一種の日本文化だと私は思っている.





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Last updated  June 22, 2013 06:33:26 PM
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