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「除染」は万能ではない.「除染」の手法が適用困難な場所,たとえば山林は,中途半端に除染するよりも,むしろ豊かな自然を復活させて,その自浄能力に頼ったほうが良い.そういう趣旨の議論をしています.
その立場から,今日は「除染の限界」という記事の一部をご紹介します.本ブログに 2012年2月8日に掲載したものですが,趣旨に影響のない範囲で少し手を加えました. (以下転載) 放射能汚染の元凶は,空から降ってきた放射性の微粒子である.その微粒子,つまり放射性降下物が,地表や建物や立木の表面に降り積もっている.これらを除去すること,つまり「除染」作業によって,環境の放射能を減らすことができる.しかし,「除染」には限界もある.土の表面をはぎ取って放射性の層を除去した場合,はぎ取った土をどう処理するのかという問題が1つ. もう1つは,山林をどのように「除染」するのかという問題.林床の落ち葉を取り除いたら,かなりの放射能が除去される,などという研究もあるらしい.これは,にわかに賛成しがたい案である. 森林の落ち葉や土の中に,どれほど多くの生物がいるかを,みんな知っているだろうか? 知らないのなら自分で確かめてみれば良い.用意するものは軍手.これは落ち葉や土を両手でかき集めるのに使う.そして目の粗い「ふるい」と,ふるった土を受け止めるための白いバット. 落ち葉や土をふるってバットに落ちてきたものを観察する,それだけの作業である.1つかみの土や落ち葉の中にも,たくさんの生物がいることがわかると思う.この方法で観察できるのは,目に見える大きさの生物(動物)だけである.土や落ち葉の中には,目に見えない微小生物,線虫類,菌類,バクテリアもいる.自然が「生きている」とは,そういうことだ.その生きている自然を「除染する」などと,事もなげに言わないで欲しい. 除染をめぐる議論の中で,あまり指摘されてないことは,上記のような土壌生物の存在である.降り積もった放射性降下物はミミズやその他の土壌生物の働きで,土の中やエリアの外に拡散して行く. もっと大きな循環に目をやると,植物体は土から物質(放射性物質を含む)を吸い上げる.植物体の一部は動物に食べられて,遠くに運ばれる.最初は放射性降下物にまみれていた木の葉も,やがて地表に落ちる.落ち葉はやがて土となる.そして落ち葉や土は上記の通り,生命活動に満ちみちたミクロワールドの舞台となる. それが自然界の営みである.ところが多くの人は,降り積もったものは人が手を加えない限りずっとその状態でいるかのようなイメージで考えているように見える.都市部ではそうかもしれない.しかし自然が息づく山林では,まるで違う. 放射能汚染に対処するには,人間にとって最良の方法は,「死の町」を離れることだ.「除染」してでも住み続けたい人は,そうすれば良い.しかし「除染」作業は学校や住居,道路,町の中の公園など,人が日常的に利用する場所でやって欲しい.山林を「除染」することは不可能だし,やってはいけない事だと思う. (転載おわり) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 22, 2013 06:43:37 PM
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