犯罪と門番 【メキシコ】
メキシコは「犯罪大国」である。特にメキシコシティは危ない。団地群やマンションも、ちゃんとメインゲートには門番が常駐し、住民でなければ入れないところが多い。部屋番号と名前を聞かれ、チェックが済むと門を開けてくれるシステムだ。意外にしっかりと防犯対策を練っているメキシコシティのマンションだが、ある日うちの門番が寝ていた。家に入ろうと、いつものように呼び鈴を押したが、門番が出てこない。いつもは門番が「誰や?」と聞いてくるので、「わしや。声で分かるやろ。」と返すと、「わっからん。思いつかへん。」「ヒント、日本人です」と返す。ちらっと門を開け、カッと目を見開いてチェックしたかと思うと、おもむろにまた閉める、を繰り返したりと、ひとしきりメキシカンギャグを楽しむ門番。その後二人で世間話をして家に入るのが常であった。なのに、その日は30分たっても出てこない。門をガンガンたたいたり、叫んだりを繰り返すと、寝ぼけ眼の門番がおもむろに門を開け、「ごめん、風邪で寝てた」。勝手に空いているマンションの一室で休んでいたらしい。メキシコシティで人気のない暗い夜に、女が一人で30分も立っているのは非常に危ない。しかし、門番が寝ていては、こんな住人の危険もさることながら、門番の本職である「防犯」の意味さえない。でも、風邪だ、しんどかったのだ、仕方ない。みんな人間だ。こんな時もあっていいではないか。「お大事に」と言って家に入ったという、情けなくも心温まるお話。↓「寝たりしない」方の、しっかりした門番と。もう一人の門番は寝ている確率が高かった。日本で本格メキシコ料理を味わうならここ!お友達スー店長のお店エル・ボラーチョ!