第58回長野県吹奏楽コンクール 中学校の部
開催日:2018.8.5(日)10:00開演場所 :長野県松本文化会館大ホール(2,000名収容) 昨年に続き吹奏楽コンクールの中学校の部・県大会のA編成の部に行ってきました。県大会は出場団体が49団体と多いため5日と6日に分かれての演奏となりましたが、都合により1日目の一部団体だけの鑑賞となりました。課題曲1.古き森の戦記 2.マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ3.吹奏楽のためのワルツ4.コンサートマーチ「虹色の未来へ」プログラム 表彰 中学校名 課題曲 自由曲1.銀 諏訪南(諏訪) 4 喜歌劇「伯爵夫人マリツァ」セレクション2.銀 東 (須坂) 2 繭の夢~竜の舞う空~3.金 軽井沢(軽井沢)2 交響曲第2番「キリストの受難」 4.銅 塩尻 (塩尻) 2 民衆を導く自由の女神5.銀 戸倉上(千曲) 4 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より6.銅 南箕輪(南箕輪)4 喜歌劇「チャルダッシュの女王」セレクション7.銀 丸子 (上田) 3 ラザロの復活8.銅 女鳥羽(松本) 4 斐伊川に流るるクシナダ姫の涙9.銅 第二 (上田) 4 歌劇「トスカ」より10.金代 裾花 (長野) 4 ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~11.金代 鎌田 (松本) 3 天雷无妄12.銀 赤穂 (駒ヶ根)4 マードックからの最後の手紙13.金 犀陵 (長野) 3 歌劇「はかなく人生」より14.金 第三 (上田) 3 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より15.銀 屋代 (千曲) 4 歌劇「トゥーランドット」より16.銀 三郷 (安曇野)4 シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」17.銅 富士見(富士見)4 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より18.銅 北部 (長野) 4 喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション19.銀 信大松(松本) 4 リバーダンス20.銀 高陵 (飯田) 4 大いなる約束の大地~チンギス・ハーン21.銀 東北 (長野) 1 バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より22.銀 浅間 (佐久) 4 「GR」よりシンフォニック・セレクション23.金 筑摩野(松本) 4 楽劇「サロメ」Op.54より24.銀 飯島 (飯島) 4 眩い星座になるために・・・25.銅 中野平(中野) 4 バレエ音楽「ドン・キホーテ」より ※代は長野県代表として東海大会へ出場 レポート諏訪南中学校伯爵夫人マリツァは、もともと全3幕のオペレッタということで、マリツァを中心とした登場人物のやりとりがある訳ですが、そのあたりの情景が目に浮かぶような情緒豊かな演奏だと感じました。東中学校繭の夢~竜の舞う空~は、竜を題材にした壮大な作品ですが、大空を舞う竜の姿を描いた場面や、偉大な竜も思い悩むことがある場面、悩みを解決し再び大空に羽ばたく場面というようなシーンを想像した次第です。軽井沢中学校交響曲第2番「キリストの受難」は、世界三大宗教の1つであるキリスト文化にまつわる受難を描いたものと思いますが、そのあたりを紐解いてゆくととても深い作品と言えます。余談ながら軽井沢には他の地域より教会が多いような気がするので、この選曲はじつにGoodと言えるかもしれません。塩尻中学校民衆を導く自由の女神は、ウジェーヌ・ドラクロワによって描かれた有名な絵画を題材に作られた曲で、女神と慕われる人物の活躍の様子が感じられるものです。曲はわかりやすい旋律と、ピアノやマレットパーカッションを効果的に使用して曲を盛り上げる樽屋氏らしいものになっています。戸倉上山田中学校歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」よりは、コンクールでは必ず演奏される超人気曲ですが、冒頭のトランペットソロや合唱の部分、終盤のサクソフォーンソロなど曲としての構成も素晴らしいものがあり、この曲をやるとコンクールではより勝てるという要素も少なからずありそうだと感じました。南箕輪中学校チャルダッシュの女王は、伯爵夫人マリツァと同じカールマンの曲ですが、概ね、一番人気がチャルダッシュの女王、マリツァが続くという感じのようです。聴いてみるとやはり一番人気だけあって、とても楽しい音楽でいいなと感じる部分が多いように感じました。丸子中学校ラザロの復活は、とにかくオープニングの豪華さが印象的で、木管が奏でる旋律と金管群のバッキングの絡みもなかなかと思いました。弱奏部のピアノ使用は樽屋氏の作品の特徴と思いますが、各パートのソロもあいまってとてもステキな感じの曲だと感じるところが多かったです。女鳥羽中学校斐伊川に流るるクシナダ姫の涙は、ヤマタのオロチの話に登場するヒロインのクシナダ姫を描いたものと言えますが、聴いていて曲の激しい部分はスサノオミコトがオロチを退治する場面を描いていたり、弱奏部はオロチがいなくなって平和が世界に訪れた。というイメージかなと思いました。上田第二中学校歌劇「トスカ」は、トゥーランドットと並ぶプッチーニの代表作品と思いますが、トスカは曲としてまたちょっと違うおもしろさがあるような感じを受けました。裾花中学校ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~は、アメリカによるマーシャル諸島沖のビキニ環礁で水爆実験を行った際に、たまたまマグロ漁でそこに居合わせ、被爆してしまった第五福竜丸を描いた作品ですが、史実に基づいたものだけにとても内容が深いと感じました。鎌田中学校天雷无妄とは、人の道を説いた言葉で「正しく生きればうまくいく。」というような解釈のようです。この奥深い言葉を天野氏の解釈で音楽にしたものなので、とにかく壮大・・・1回聴いたくらいでは理解するのはとうてい無理と思いますが、これは深堀したいところだと感じました。赤穂中学校マードックからの最後の手紙は、タイタニック号に乗船していた一等航海士のマードックとタイタニック号沈没事故をモチーフにした曲ということで、作曲が樽屋氏なので、いわば和製タイタニック的なところかと思います。タイタニックも話題の1997年の映画作品公開から既に20年ですが、話は尽きないものだなと思いました。犀陵中学校はかなき人生は、1913年初演のファリャのオペラですが、今日は曲だけが抜粋して演奏されているとのことです。カスタネットに代表されるようなスペイン舞曲の要素がけっこうあるので、これは聴いていてもなかなか楽しいと感じるところがありました。上田第三中学校本日2団体目の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」よりですが、それだけこの曲の人気が高いことを証明しているようでありました。いろいろな意味で何度聴いても聴き映えのする良曲だなというところです。屋代中学校トゥーランドットもいろいろな編曲版が出ていますが、演奏頻度から後藤氏版が最もポピュラーなのかなと感じるところです。改めて、聞くとやはり曲の力はピカ一。あとはどう盛り上げてゆくかというところなのかもしれません。三郷中学校シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」は、2010年に春日部共栄高等学校の委嘱により作曲された曲で、題名に出てくるようにチャイムが曲のカギを握っている感があります。富士見中学校本日3団体目の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」よりですが、こちらは鈴木英史氏版ということで、聞きなれた宍倉氏版と構成が違っているものでした。このあたり、宍倉氏版が圧倒的に人気で聴きなれているので、編曲に対する違和感は否めないところかなと思いました。北部中学校喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクションは、いくつかある鈴木英史氏のセレクションものでも人気の高いものかと思いますが、改めて聞くとメリーウィドウが持つ甘くて魅力的な楽曲群のおいしいところをうまく集めたなという印象を受けました。信州大学教育学部附属松本中学校リバーダンスは、コンクール的には少し毛色が違うノリを持っている楽曲で、クラシックも良いがこういうのもありかというものを感じるところがありました。※高陵中学校~中野平中学校のレポはありません。都合により途中退席したためご容赦下さい。まとめ県大会ともなると、どこの団体も高いレベルの演奏となり、聴き応えがよりある訳ですが、コンクールという性格上、レベルがほぼ同じであればあとは選曲で決まるのかなというところですが、邦人で人気なのは樽屋氏の作品、続いて福島氏というところですが、このあたりも年こどに傾向が変わってくるので興味深いところです。