演 奏 会 の 旅
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元帥閣下
プロからアマチュアまでジャンルを問わず行われる演奏会のレポートを紹介します。
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開催日:2023.9.22(金) 19:00開演 場所 :川西公民館 大ホール サントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.83 菊池洋子ピアノ・コンサートへ行ってきました。 プログラム 1.J.S.バッハ:ゴルトベルグ変奏曲より「アリア」 2.シューベルト:即興曲集 第2番 Op.90-2 変ホ長調 3.リスト:愛の夢 4.ショパン:ワルツ第6番「子犬のワルツ」変ニ長調 Op.64-1 5.ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2 6.ショパン:子守歌 変ニ長調 Op.57 7.チャイコフスキー/菊池洋子編:『白鳥の湖』より「情景」 8.マーラー:緑の森を楽しく歩いた 9.ブルックナー:シュタイアーマルクの人びと WAB.122 10.ゴトフスキー:古きウィーン 11.グリュンフェルト:「ウィーンの夜会」 ヨハン・シュトラウスのワルツ主題による演奏会用パラフレーズ Op.56 12.草川信/斎藤高順編:ゆうやけこやけ アンコール 13.モーツァルト:トルコ行進曲 14.サン=サーンス:白鳥 15.草川信/ゆりかごの歌 レポート ゴルトベルグ変奏曲より「アリア」 全部弾くと1時間20分に及ぶ大曲とのことで、今回は冒頭のアリアのみの演奏とのことでした。菊池氏はバッハの音楽は癒しを感じる、原点を感じるとのことで、これは金子三勇士氏も以前同様のことを話されていたので、音楽家にとってのバッハの音楽の共通認識なのかなと感じました。 即興曲集 第2番 Op.90-2 変ホ長調 生涯を音楽の都ウィーンで過ごしたシューベルトの作品で、A-B-A-コーダ様式を持つドラマティックな曲との紹介がありました。途切れることない細かい音符の連なりがとても心地よく感じられました。 愛の夢 リストが歌曲をもとに作った3つの夜想曲の第3番にあたる愛の歌ですが、ベートーヴェンにも絶賛されたというだけあって、その美しいメロディーは心を豊かにしてくれる…そんな夢心地のひとときになりました。 ワルツ第6番「子犬のワルツ」変ニ長調 Op.64-1 ショパンの晩年の楽曲で、よく演奏される印象があるワルツですが、それだけにピアニストの個性が見えやすいと感じました。ピアノの音色の傾向というのもあるのかもしれませんが、菊池氏の子犬のワルツは音の粒がはっきりしていてとても聴きやすいという印象がありました。 ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2 子犬のワルツと同時期に作られた楽曲とのことですが、改めてピアノにしかないショパンの魅力を感じる1曲という印象がありました。 子守歌 変ニ長調 Op.57 この曲が作られた頃のショパンは、ジョルジュ・サンドの別荘で曲作りをしており、父の死や自身の体調も悪い中で生まれた曲とのお話がありました。そんな逆境の中でどうしてこんなにおだやかな曲が作れるのかという疑問が出てきますが、それだからこそ音楽に癒しを求めたのではないか?とも受け取れるのかなと思いました。 『白鳥の湖』より「情景」 菊池氏はバレエが好きでよく鑑賞されるとのことで、そんな中でオーケストラの白鳥の湖を自分でも弾いてみたいと感じ、自ら編曲したのがこちらの曲とのことでした。自作自演の白鳥の湖は、冒頭からあの有名な情景のフレーズでいっきに聴き手の心をつかみ取り、中盤以降の盛り上がるところは音量を上げて畳みかけるような迫力がありました。 緑の森を楽しく歩いた ゆったりとしたテンポで、時に立ち止まって緑を楽しむ…そんな情景が想像できる曲かなと思いました。 シュタイアーマルクの人びと WAB.122 ウインナワルツの楽曲で、拍子の撮り方として12もしかしたら3…という遊びが特徴的との紹介がありました。またシュタイアーマルクとは作曲者のブルックナーが暮らしていた街だそうで、日常の情景がとてもよく表現されていると感じました。 古きウィーン ウィーンのカフェの日常について菊池氏よりお話がありました。ウィーンではカフェは市民の日常であり、やすらぎの場になっているとのことで、この古きウィーンがそんなカフェの雰囲気をよく表しているのだとのことで、そんな情景を想像しながら楽しませていただきました。 「ウィーンの夜会」 ヨハン・シュトラウスのワルツの主題による演奏会用のパラフレーズという題目がついており、具体的にはこうもりを主体としたアレンジになっていましたが、まさにウインナワルツの王道を行く曲で聴いていてとても楽しくウィーンの風を感じることができました。 ゆうやけこやけ 有名な楽曲ですが、作曲者が長野県出身の草川信氏という紹介があり、そうだったのかと勉強になりました。そして本プログラムの最後は日本の曲で締めるという菊池氏のこだわりと心意気を感じました。 トルコ行進曲 アンコール1曲目は、菊池氏がライフワークにしているモーツアルトの楽曲より、アンコールの定番としてもおなじみのトルコ行進曲が演奏されました。菊池氏のプロフィールに「2002年の第8回モーツァルト国際コンクールにおいて日本人として初めて優勝」とあり、その確かな実力を目の当たりにする貴重な機会になりました。 白鳥 菊池氏よりもとは言えばチェロとハープの曲です。とのことでしたが、ピアノの中音域で奏でる旋律と高音域で奏でる伴奏部分のバランスが絶妙で、こんなにステキな白鳥もあるのかと感じずにはいられないひとときになりました。 ゆりかごの歌 夜ですのでゆりかごの歌をお届けしますという形になりましたが、曲を聴いて子供の頃のゆりかごで過ごす幸せなひとときを想像し、とても暖かな気持ちになりました。 まとめ 本プログラム10曲に加えてアンコールが3曲も!ということで、時間が許す限り少しでも多くの音楽を皆さんにお届けしたいとい菊池氏の想いがよく伝わってくる濃厚なひとときになりました。菊池氏は今年度のレジデントアーティストとして複数の公演を行う訳ですが、今回私の都合がかみ合わず菊池氏の公演を拝聴できるのはこのふれあいコンサートの1回のみということで残念な気持ちだったのですが、菊池氏の心意気や公演にかける熱い想いが存分に感じられた素晴らしいひとときになりました。