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カテゴリ:情報量理論
 さて、いきなり妙な質問をします。語順と言いますが、なぜ順番が必要なのでしょうか。たとえば広場があって、どこからでも入れるんだったら、順番なんかいらないわけです。どこかに入口があって一度になだれこむといけないとなると、順番に並ばなければいけません。しかも、一人ずつしか入れないとなると、一列に並ばなければなりません。

 そう、当たり前のことですが、ことばというものは一列に並ばないといけないものです。ここでちょっと困ったこととまではいきませんが、いささか不自由な事態が生じます。

 私たちが心に感じたり、頭で考えたりすることは、ある瞬間さまざまなものがどっと押し寄せることがあります。視覚で捉えることができる風景は立体です。耳からは同時にいくつもの音、何人もの声が聞こえてきます。

 さらには時間というものがあります。目の前の風景が時間によって変化します。ということは、私が最初に原風景と呼んだものはいわば四次元であることになります。ところが、言語というものはあくまで一列、一次元のものです。

 絵を描くときにも、同じような制約を受けますが、絵の場合は三次元を二次元にするだけですから、その点では言語ほどには不自由を感じないわけです。


 ですから、言語というものは、その意味では絵よりも圧倒的にむずかしいもので、とにもかくにも一本の線の上に構成するほかないものです。

 語順というものは、その制約を踏まえたうえで、情報伝達にいちばん都合のよい並べ方を考えるところから生まれたものです。

 動詞を基準にして考えると、動詞で始めるか、まず主語を置いて次に動詞をもってくるか、それとも動詞をいちばん最後にもってくるか、3通りの方法があることになります。逆に言えば、基本的にはこの3通りしかありえないことになります。

 もしも、めいめいが自分の好きなところに動詞をもってくるようなことがあればどうなるでしょう。次に動詞が来るはずだと予測して聞いていたら、いっこうに来ないものですから、いったい相手が何をどう伝えたいのか、わからなくなってしまうはずです。

 こうして、それぞれの言語ごとに、動詞をどの位置にもってくるかが決まってきます。世界には、動詞で始まる言語と、主語の次に動詞が来る言語、動詞で終わる言語があります。

 私たちが日本語を話す時のことを考えてください。日本語は動詞で終わる言語ですから、当然動詞はいちばん最後にもってきます。それでは、日本語で話をする時には、いつも最後の最後になってから、どの動詞で終わろうかと考えているでしょうか。もちろん、いったん話し始めたあとで、二つか三つある候補のうちから一つを選ぶということはあるでしょうが、ほとんどの場合は何かを言い始めた時点で、あらかじめどの動詞でしめくくるかは、ちゃんと考えているはずです。

 これこそが、語順が必ずしも思考の順ではないことを示す紛れもない証拠です。めいめいが心に浮かんだ順にことばを口にしたら、それこそ情報伝達などできなくなります。もっとも、そういう人もけっこういるにはいるものですが、ここではそういう人たちのことは一応考えないことにします。

どんな内容を、どのような順で考えたとしても、それを他人に伝えるときには、それぞれの言語によって決められた一定の語順に並べないといけないわけです。もちろん、ある程度の融通はききますが、その範囲を超えて自分勝手な並べ方をすることはできません。


 このように、私たちは心に浮かんだ原風景から、その原風景を推し量るのに有用な情報を選択し、その情報をデータのかたちに定着させるにあたって、原風景が浮かんだ順とは別に、データの形式によって決められた順にデータを構成する要素を並べていくことになります。


 語順が必ずしも思考の順ではないことはこれでわかっていただけたと思います。ところが、世界には語順がかちっと決まっている言語と、比較的語順が自由になる言語があります。

 語順が自由になるとなれば、語順そのものを思考の順に合わせることができるのではないかという疑問も出てこようかと思います。その点については、次回の「語順が自由になる言語、ならない言語」で考えてみようと思います。


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最終更新日  2006年11月11日 15時31分49秒
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