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2015年09月29日
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カテゴリ:漫画・アニメ

★ 『 シマシマ 』 山崎紗也夏 (2008~10年)



電子書籍無料版およびレンタルにて、全12巻 読了。

実写ドラマ (2011年) は未見。


結婚生活わずか1年で夫に浮気され離婚、借金と孤独への不安を抱えて不眠症に陥ったヒロインが、同じ悩みを持つ女性向けに 「添い寝」 男子の派遣業を営む …という話。


草食男子高じて、男女で添い寝 (だけ) する 「ソフレ」 が流行ってるだとか、マスコミでも まことしやかに取り上げられているが、まー常識的に考えて、そんな斡旋業、カタギの人間には怖くてやれないよな、 …普通。

モテモテでありながら 「草食」 イケメン というメンバーを揃えること自体がまず奇跡だし、女性と2人きりになっても 「確実に手を出さない」 かどうかなんて、当の本人すら保証できまい。 万が一、派遣した男がおかしなことをしでかしたら、売春斡旋か強制猥褻の共犯容疑で お縄にもなりかねない。


そもそも、いくら清潔感溢れるイケメンだからって、初対面の若い男の添い寝で、いきなり眠れるか? それで眠れるような女は、そもそも不眠症になんかならない、と私は思うが…。

まあ、その辺の不自然さに目を瞑れば、設定としてはなかなか面白いし、 「先がどうなるか」 というスリルも満載だ。


ただ、毎度同じことを言うようだが、ハッキリ言って、12巻費やす程の話ではない、というのが正直なところ。


Amazon のレビューを読むと、 「途中まではすごく面白かったのに」 …と、結末に不満な読者が多いようだが、いい加減、漫画読み過ぎの私には、その結末すら想定内だったし、ラストが気になるから一気に読んだものの、後半の4~5巻は、期待感が急激に失速してしまった。


勿論、ストーリーだけでなく、細かい情景描写にこだわる作家さんのようで、 「大ゴマ」 は多いが、『ひるなかの流星』 のような、アップ顔やモノローグで稼ぐような手抜きはなく、人物の動きや背景などもよく描き込んでいるので、視覚的な魅力がある。

『富士山さんは思春期』 の人気からも分かる通り、最近、こうした 「情景 重視」 漫画が 青年誌でもてはやされるのは分かっているのだが、何度も読み返したくなる程の作画かと言うと、ビミョーだ。


絵柄自体には、何とも言えない魅力はある。 『ひるなか…』 の人物の表情が 「人形劇」 みたいだと揶揄したのは、作者は表情を作ろうとしているにもかかわらず 「ワンパターンで固い」 という意味で言ったのだが、もう、この山崎さんの場合は、はなから 「人形浄瑠璃」 のようなキャラデザだ。 無表情さがどこまで心理を表現できるかの挑戦、にすら見える。 だが、それも、ストーリーが停滞しだすと、段々、飽きてくる。


ストーリー面では、設定は突飛だが、人間関係の推移や心理描写が、なかなかにリアルだ。

バツイチでアラサー近いヒロインが、20歳そこそこの紳士的なイケメン4人に囲まれている図は、漫画と思えば羨ましいが、現実にいたら、不自然極まりない。 実際、作中にも、その薄気味悪さに気付いて掻き乱す人物が現れるのだが、とことんヒロイン中心主義を貫く少女漫画に比べると、その辺りに、作者の冷めた意識が窺える。

ただ、その作者の 「冷め感」 が、最後には、読者までも物語世界から 雑に引きずりおろしてしまった。


途中、恋愛関係のもつれの佳境のところで、キャラの1人が、突如として 「めんどくさく」 なって、ガクッとトーンダウンしてしまうシーンがある。 この描写が余りにリアル過ぎて、ちょっくら少女漫画のヒロイン気分に浸って読んでいた私まで、一気に冷めてしまった。 作者の 「巧さ」 に感服させられたシーンであったのは確かだが…。

しつこく引き合いに出して悪いが、 『ひるなかの流星』みたいに、黙ってても女が寄ってくるようなイケメン達が、 「ちょっと素直で可愛い」 程度の女子高生をいつまでも想い続け、グイグイ迫るようなことは、実際には殆ど無いものだ。


まあ、そんなことは百も承知の上で のめり込めるのが、出来のよい恋愛漫画なのだが、この 『シマシマ』 の場合、 「夢心地にさせておいて、現実に引き戻す」やり方が、狙ってるとしたら、ちょっと 「あざとい」し、ひょっとしたら、単に作者自身もめんどくさくなっただけなんじゃねえか? と感じさせてしまうほど、ストーリーの散らかしぶりが、後半、目立つ。


それでも、もう少し短い作品ならば許されたかもしれないが、12巻分 引っ張って、散々読者の気持ちを掻き乱しておいて あの終わり方かよ、という不満が出るのは無理もない。 私自身、正直、読後は「徒労感」 すら残った。


キャラの性格設定も、リアルで悪くはないが、結局、ものすごく共感できる人物もいなかった。

一番人気のランちゃんは 確かに少女漫画のヒーロー的で、読み続けるモチベーションにはなったが、肝心のヒロインは、ストレスで眠れない不幸をやたらと強調しているが、状況的にはさほど同情できない。 …というか、寧ろ、無い物ねだりでゼータクにすら見える。


いくら睡眠が大事だからと言って、 「眠れる」 かどうかで男を選んだり、切り捨てたりするスタンスは、それがリアルな女の姿だ と言われても、客観的には、余り共感は出来ない。

余計なモノローグを排する作者の姿勢は買うが、それにしても、最後までヒロインの気持ちは 私には理解不能で、寄り添えなかった。




<関連日記>
2014.11.28. デカい女に突きつけられる 「好かれる条件」 ・・・ オジロマコト 『 富士山さんは思春期 』

2015.9.5. 「教師と生徒の恋愛」 以上に 気になる問題 ・・・ やまもり三香 『 ひるなかの流星 』












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最終更新日  2016年10月10日 22時20分15秒
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