1334439 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

雪白の月

雪白の月

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

つぐみ@夜空

つぐみ@夜空

カレンダー

カテゴリ

コメント新着

キーワードサーチ

▼キーワード検索

ニューストピックス

フリーページ

2015年09月23日
XML
カテゴリ:漫画・アニメ

★ 『 ROOKIES 』 森田まさのり (1998~2003年)



電子書籍無料版およびレンタルにて、文庫版 全14巻読了。

実写ドラマ (2008年)、映画 (2009年) は未見。


日本人が昔から大好きな 「熱血教師もの」。

学校からも見捨てられた不良野球部員たちが、前任校で暴力事件を起こした過去のある 熱血教師 (川藤) に感化され、甲子園を目指す …的な、まあ、ひと言で言ってしまうと 1970~80年代に流行った熱血スポーツ教師ドラマ (『われら青春!』、『スクール☆ウォーズ』など) そのまんまな感じだが、「不良の更生」 物語というだけでなく、かなり、野球の試合の内容そのものもしっかり描かれ、「スポ根」 漫画的な要素も大きい。 ギャグのテンポも良く、男性読者に好まれるのも分かる。


それにしても、「古いドラマっぽいから」 と言うだけでなく、劇画調の絵柄や 漂うセンスが、(上手いんだけど)必要以上に古臭く感じる。 1998年連載開始と言うが、もっと古いかと思った。

男性作家にしては、ファッションや髪型の流行にこだわった作画をしているのが、かえって 「時代感」 を強調してしまってるのかも…。 “キムタクばり” のロン毛も、ルーズソックスも、連載開始の頃には、もう実社会では廃れ始めていたと思うし…。


そもそも、この頃 巷では、Jリーグやワールド杯初出場で若者のサッカー志向が高まり、野球は人気凋落が目に見えていた頃だろう。 リアルタイムで読んでいた人 (特に低年齢層) は、今読むよりも、もっと、時代遅れに感じたんじゃなかろうか。


不良キャラクターのノリも、「罵り合いながら、実は物凄く信頼し合ってる」 とか、「セクハラ発言ばかりだが、いざとなると純情」 とかいうあたり、小林まことの 『1・2の三四郎』 (1978~83年) の世界そのまんまだし、 『スラムダンク』 (1990~96年) を遥かに凌ぐ 場外での喧嘩流血シーンの多さなど、…正直、色んな面で 「焼き直し感」 は満載だ。

それでも、テンポはいいし、ギャグも笑えるし、野球好きでなくても、そこそこ面白く読めると思う。


ただ、私自身は、前半は、楽しみつつも今ひとつ感情移入しきれないところもあって、教師の川藤も不良高校生も、フィクションのキャラクターとしては魅力的なんだけど、実際にはあんな熱血教師は見たこともないし、何かと言うと暴力に訴える不良のメンタリティも、余り理解できない。 教師に感化される素直さや、火がつけば努力する能力のある少年たちが、あそこまでグレたのもイマイチ説得力に欠ける。

そもそも、不良たちの描かれ方が、余りにもステレオタイプというか、画一的というか、リーゼントかパーマか トサカ頭か …という描き分けはできてるが、性格的には全員 大差がなく、個性が感じられなかった。


ただ、彼らがやる気を取り戻し、本気で甲子園を目指して練習を始めるあたりから、徐々にそれぞれのキャラの個性や役割も見えてくる。 特に、文庫版10巻以降、甲子園予選に入ってからは、試合の描写も本格的で面白いし、彼らの一生懸命さに 素直に泣ける場面が 多々あった。


終盤が少々駆け足で、ちょっと残念な感もあるが (作者の病気による休載が 人気に影響したのではないかという憶測も…)、一応、ラストはきれいにまとめられており、「もっと彼らを見ていたかった」 と思わせるところで終わったのは、却って良かったかもしれない。


しかし、 『ラストイニング』 読み終えた時も思ったが、高校野球漫画 終了時の 「寂しさ」 というか 「荒涼感」は、何だか たまらないものがある。

3年間 (実質2年半弱) という短い期間に、実力通りにはいかないトーナメント戦で決まってしまう乱暴さ、大人の事情が絡む理不尽さで溢れているにもかかわらず、必死に闘う子供たちが、痛々しい。 結果を残せなければ、ごく一部の選手以外は、大概それきりだ。


それ以上に、 「川藤みたいな先生、いるわけないだろ」と決めつける 心の片隅で、「こんな大人に出会えていたら、自分の人生も変わっていたかもしれない」 と考えてしまう、自分の未練がましさにも 嫌気が走る。

「夢を追う」 ことを忘れ果てた大人の読者には、この漫画は 若干の 「読後うつ」 を呼び起こすかもしれない。


かといって、まだまだ人生に先があると信じ込んでいる現役の中高生には、モタモタしている間に若さはすぐに過ぎ去ってしまうことや、川藤のような存在の希少さ (現実には、親身に導いてくれる大人など、滅多には現れない) などに気付くこともなく、なんとなく、読み終えてしまう人も多いんだろうなあ。




<関連日記>
2011.11.14. 史上最低の「愚か者たち」・・・『 新ビバリーヒルズ青春白書 』

2012.6.21. 今さら、 『 SLAM DUNK 』 を読んでみた

2015.1.16. 生徒を救えば救うほど 孤独になっていく教師の物語 ・・・ 深谷かほる 『 ハガネの女 』

2015.8.2. 「忘れられる高校球児たち」 の闘いをじっくりと ・・・ 神尾龍、中原裕 『 ラストイニング 』












お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016年10月10日 22時21分11秒
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.