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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『 明治失業忍法帖 〜じゃじゃ馬主君とリストラ忍者~ 』 杉山小弥花 (2010年~) 電子書籍無料版およびレンタルにて、既刊8巻まで読了。 明治初期を舞台に、自立した女性を目指す商家の娘と、契約上の婚約者となった忍者出身の男との恋の駆け引きや、次々と巻き起こる陰謀や事件を描いた作品。 陰謀や事件と言っても、読み切り型の他愛ないフィクションなので、直接的な歴史の知識にはならないだろうが、作者は当時の世相や風俗についてかなり勉強しているようで、そこここに豆知識的なものが散りばめられ、この時代に興味を持つきっかけにはなり得そうだ。 ただ、漫画作品としては、好みが分かれそう …というか、正直、余り高い評価をつけられないというのが、私の正直な感想。 人物設定には魅力があるし、毎回のエピソードも恋愛哲学も悪くはないのだが、何しろ、モノローグやセリフによる 「説明」 が多すぎる。 基本的には主役男女の恋愛模様を主軸としながらも、豆知識的なものを詰め込み過ぎて、しかも殆どネーム (文章) によるものなのでメリハリがなく、本当に大切なセリフが埋もれてしまって、かなり読みづらい。 しかも、作画も、最初の方は丁寧で少女漫画にしては建物などの背景も描きこんでいて好感が持てたが、巻を追うほどに目に見えて雑になっていく。 特に人物のアップが雑で、「対話的なセリフが多いにもかかわらず、アップ顔が雑」…となると、極論ではあるが、「漫画である必要があるのか」とすら思ってしまう(かといって、小説で読みたいと思うほどの内容でもないが)。 人物アップの可愛さやムードばかりこだわり、大ゴマや無駄ゴマが多い 『ひるなかの流星』 のような作品にもイライラさせられるが、セリフばかりで作画に工夫が無さすぎるのも、よほどの内容でないと、読むモチベーションが続かない。 ストーリーにオリジナリティや含蓄があるだけ、この作品はマシではあるが、メインストーリーがなかなか進まないことは、共通している。 まあ、オリンピックの時期に借りたことも、タイミング的に良くなかった。 四年前もこの時期に 『三国志』 を借りて後悔したが、他に魅力的なエンターテインメントに溢れている時に、クドクドと教訓めいたストーリーは、そもそも読み続けるのがキツイ。 ついでに言わせてもらうと、コミックスの掲載方法も余り感心しない。 殆どの巻末に無関係なシリーズ作品や読み切り作品が掲載されていて、まあ、普通のコミックスより分厚いので、買う人にはお得感があるかもしれないが、私的には連載作品は、なるべく、それだけでまとめる努力をして欲しいと思う。 <関連日記> 2012.8.17. 勧善懲悪の戦国物語に辟易 ・・・ 横山光輝 『 三国志 』 2015.9.5. 「教師と生徒の恋愛」 以上に 気になる問題 ・・・ やまもり三香 『 ひるなかの流星 』 2015.9.15. 真に 「読みやすい」 漫画とは ・・・ 小玉ユキ 『 月影ベイベ 』
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最終更新日
2016年10月10日 21時53分55秒
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