駅まで歩く
バスがなかなか来ない。とおもったら、時間をまちがえていた。 次のバスまで20分くらい時間がある。駅まではゆっくり行ったら25分くらいだ。「アハハッ、んじゃ、歩こっと」そう思ったら、初めから決めてたみたいな気ぶん。太陽も急にリキを入れだしたように、あたりがいい天気でいっぱいになった。若葉でまぶしたようなイチョウの並木が続き、私が歩き出すと、イチョウも一斉に行進を始めるみたいに太陽にチカチカと光る。バッグにクマネコをぶらさげて 右に曲がるバス通りを横目に、銀杏のつづく人気のない道路をまっすぐに進むと、道はゆるやかに登りながら、行き止りのような坂道に突き当たる。ぐぐーんと音をたてるようなカーブを、遊園地の車のような気ぶんでクイクイと登る。 古い桜の木のある古い家の横に、おばあさんが立っていた。 小学生の10人くらいのかたまりが歩道橋を渡って行く。みんな、カラフルなスナック菓子のように、どこか儚いかんじ。 細い車道を越え、細い裏道をぬけ、線路に平行する道路に出た。 あんまりヒトに出会わなかった。 ネコもいなかった。 むこうを、乗るはずだった私の電車が通って行った。*up風景ちょきん箱★駅に行く途中で★*up窓日記★追いかけっこ★