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テーマ:海外生活(7779)
カテゴリ:トルコ的生活/わたし的生活
§フェティエの魅力、再認識(2) アーチをくぐり抜け、左右に肉屋や香辛料屋を抱える薄暗く短いトンネルが切れると、明るい日差しの差し込む心地よい空間が広がっていた。 ハン(隊商宿)のような構造で、かつギリシャ風の破風を特徴とする石造りの建物の、方形をしたパティオ(中庭)の中央には、巨大テントの下に魚屋がズラリと並ぶ大理石カウンターがしつらえられている。 パティオを囲むようにして、周囲には肉屋やレストランが軒を並べ、レストランの軒先を飾る色とりどりのテントが、小さい広場を一層魅力的なものに見せている。 私たちは早速、魚屋のカウンターに詰め寄り、アンタルヤでは食べられなさそうな、珍しそうな魚を物色。 生憎、「これ」というのはなかったのだが、私は新鮮なイカを見るなりイカが食べたくて仕方がなくなった。上の娘も、リングフライにニンニク・マヨ・ソースをつけて食べるのが大好きなので、私は早々にイカに決定。 その他、ボラの卵を目ざとく見つけ、これもひとつだけ調理してもらうことに。 魚の好みの偏った夫は、ありきたりのレヴレッキ(西洋スズキ)を娘たちにもわけてやるつもりで2尾注文。 上の娘は、さらにソモン(サーモン)の輪切りを見て食べたくなったらしく、これも1切れ追加。 魚屋は、それぞれの重さを量って値段を出す。全部で20YTLなり。 どこで食べるの?と聞くと、魚屋が指差したレストランは、青と白のツートンカラーも爽やかなREIS(船乗り、船頭の意味)というレストランだった。店先にサメの剥製?が飾ってあるのが眼を引く。 こちらは、食べかけで失礼!イカのリングフライと、ボラの卵のフライ。 すっかり満腹した私たちは、他にはどこにも立ち寄らず、まっすぐ車に戻ると、楽しいひとときの余韻を味わいながら、一路カヤキョイ~オリュデニズ方面に向けて車を出発させた。 * * * * 今回、観光らしい観光はまったくしなかったにもかかわらず、私の脳裏にはフェティエの印象が強く刻まれることになった。 過去2回のごくごく短いフェティエ滞在で得た印象から、「フェティエって大したことない。そう面白い場所でもないのに、どうして人気があるんだろう?」と常々訝っていた私。 もちろん一般的な意味で、観光客を惹きつけてやまない数々の魅力がフェティエにはある。なんといっても青い空と海。背後に迫る緑の山々。海あり山あり遺跡あり。マリン・スポーツありマウンテン・スポーツあり。 だが、魚市場のあるチャルシュ(商店街)一帯を歩いてみて初めて、私自身フェティエの魅力のひとつに気付いたような気がする。 チャルシュのそこここに植えられた緑の落とす清々しい木影と、土産物屋の軒先の色鮮やかな対比。密集した空間ならではの心地よい窮屈さ。ブラブラ散歩の愉しみ。観光客、地元民。国籍を問わず人々の集う空間がそこにはある。 モダンな店舗に占領されたモノトーン気味で拡散気味のアンタルヤのチャルシュと比べると、色鮮やかで求心性に満ちたフェティエのチャルシュは、私にはずっと魅力的なものに映った。 「こんな場所、アンタルヤにはないね」「アンタルヤにもこんな空間が欲しい」 そんな独り言を何度もつぶやいた私だった。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/09/14 07:36:20 AM
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