冷泉家に関しては、住宅、古写本とも長らく一般公開はされていませんでしたが、1994年から2000年にかけて「平成の大修理」が行われ、その時、冷泉家住宅のみが2001年秋に初めて5日間公開されました。
その時だったと思います。
大ブームで、その時、はじめて冷泉家の存在を知りました。
どういう家かといえば、藤原俊成・定家・為家と三代続けて古今和歌集や新古今和歌集、百人一首の撰者となったのを始めとし、先祖代々から今日まで受け継がれ、和歌に大きな影響を与えた家系です。
上冷泉家の住宅は、京都市今出川通烏丸東入ルにあり、重要文化財に指定されています。1790年(寛政2年)の建築で、現存する最古の公家住宅だということで、見学に行きたいね、とそのころよく話したものです。
その冷泉家が「冷泉家時雨亭叢書完結記念冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」を上野で開いています(20日で終わりですが)。
行こう、行こうと思っていてなかなか行かれず、今日やっと見てきました。
行く前から、分からないだろうな、と思っていたのですが、分からないまま楽しんできました。
とにかく最初から最後まで、ただひたすら典籍が展示されているだけの展覧会ですので、古典に興味の無い人にとっては、なんだこれはと思うでしょう。
私はいくらか面白く、時間が足りないぐらいでしたから、まあまあ古典に興味ありです。
とにかく、冷泉家は、京都を焼き尽くした天明の大火(1788)等からも免れ、800年の歴史の中で収集した古典の書物を現代に伝えてきたわけだし、それだけでなく生活行事もずっと継承しているのですから、こうした家があったというだけで奇跡です。
茶道、華道などの家元もある意味、こうした継承をなしています。
こういうことが続いたということの意味も大切にしてもらいたいと思っています。
国宝・藤原俊成自筆「古来風躰抄」建久8年(1197)、国宝 藤原定家自筆「拾遺愚草」 鎌倉時代前期といった国宝とか、「隠岐本 新古今和歌集」とか、その重みを感じます。
「明月記」の紙背文書が見られるように展示してあるところは、素晴らしいと思いました。
また、冷泉家で現在も毎年行われている「乞巧奠(きっこうてん)」星の座の再現はとても楽しいです。
そして、朝儀諸次第 朝所(ちょうぎしょしだい あいたんどころ)」(藤原定家筆 鎌倉時代前期)に、定家筆の人形が描かれていました。人形を自分に見立て儀式の予行演習をしたとのことです。
この人形、たくさんのグッズの文様になっていました。
書の鑑賞という目でも見ましたが、定家の書が、目に焼き付きました。定家は悪筆だと思っていたようですが、でもそこに深い味があります。「定家様」というのだそうです。
帰りに見た西洋美術館のイルミネーションがキレイでした。
![西洋美術館のイルミネーション](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/63/0000466463/03/img8dd601bczik7zj.jpeg)