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2009.12.31
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 追い込みの掃除をしながら、テレビを時見ました。素晴らしい番組で、ゆっくり見たかったです。
 一つは「ETV50 美の贈りもの~美術番組ベストセレクション~」
 もう一つ、太宰治短編小説集「雪の夜の話」と太宰治短編小説集「きりぎりす」
 いずれも10月に放送阿された再放送なのですが、そのころ、ムクが亡くなったりして、テレビ見ていなかったのです。
 「ETV50 美の贈りもの~美術番組ベストセレクション~」
 いきなりルドンのひとつ目の作品が表れ、音楽家の武満徹さんがコメントをしました。
 「僕自身、いつもルドンの(作品に描かれた)ああいうまなざしを見ると、何を見ているのかなと自分に問いただしているんだけど、たぶん僕は、これは記憶のまなざしではないかと思うんですよ。それは人類、人間がこの地上に生まれてきて最初に見た世界の風景とかですね、そういういわば生命の神秘というか。今、人類は知的に開発されてかなりのところまできているわけだけども、原始の記憶というか、モノがまだはっきり形をなさない時代の記憶を、僕たちはまだ持っているんだろうと思うんです。そういう何か目に見えないもの、しかしそれは世界を作っている非常に大きな、大事なもので、たぶんルドンという画家は常にその(作品に描かれた)まなざしを通して、そういうもんを見たかったんではないかと」
 武満徹【私とルドン】日曜美術館 1980年放送武満徹「私とルドン」から選ばれてものです。
 目の奥に原始の記憶があると言うのです。
 そして、太宰治短編小説集「雪の夜の話」、ここにも、目が出てきます。
 本からその部分を引用します。
 テレビ「雪の夜の話」「人間の眼玉は、風景をたくわえる事が出来ると、いつか兄さんが教えて下さった。電球をちょっとのあいだ見つめて、それから眼をつぶっても眼蓋(まぶた)の裏にありありと電球が見えるだろう、それが証拠だ、それに就いて、むかしデンマークに、こんな話があった、と兄さんが次のような短いロマンスを私に教えて下さったが、兄さんのお話は、いつもでたらめばっかりで、少しもあてにならないけれど、でもあの時のお話だけは、たとい兄さんの嘘のつくり話であっても、ちょっといいお話だと思いました。
 むかし、デンマークの或るお医者が、難破した若い水夫の死体を解剖して、その眼球を顕微鏡でもって調べその網膜に美しい一家団欒(だんらん)の光景が写されているのを見つけて、友人の小説家にそれを報告したところが、その小説家はたちどころにその不思議の現象に対して次のような解説を与えた。その若い水夫は難破して怒濤(どとう)に巻き込まれ、岸にたたきつけられ、無我夢中でしがみついたところは、燈台の窓縁であった、やれうれしや、たすけを求めて叫ぼうとして、ふと窓の中をのぞくと、いましも燈台守の一家がつつましくも楽しい夕食をはじめようとしている、ああ、いけない、おれがいま「たすけてえ!」と凄(すご)い声を出して叫ぶとこの一家の団欒が滅茶苦茶になると思ったら、窓縁にしがみついた指先の力が抜けたとたんに、ざあっとまた大浪が来て、水夫のからだを沖に連れて行ってしまったのだ、たしかにそうだ、この水夫は世の中で一ばん優しくてそうして気高い人なのだ、という解釈を下し、お医者もそれに賛成して、二人でその水夫の死体をねんごろに葬ったというお話。」
 これも、目の奥に記憶が残る話です。
 何か心に残りましたが、今年はもう時間がありません。
 考えるのは、ゆっくり来年に。
 太宰治の「雪の夜の話」は、すぐに思い出しませんでしたが、ここの話で思い出しました。
 そして、この話から、黙って死んだ水夫のことは、誰も知られないまま、消えてしまう。
消してしまわないことが小説家の仕事だ、というようなことを、何かで読んだ記憶がよみがえったのですが、思い違いかもしれません。
 太宰治の「きりぎりす」、この作品、とても好きな作品で、今、また読んでいます。
 それから、「美の贈りもの~美術番組ベストセレクション~」に90歳代の二人の巨人が出て、これにも感動しました。
 彫刻家・佐藤忠良さんと、華道家の中川幸夫さんです。
 佐藤さんは97歳です。番組に手紙が来ていましたが、しっかりした字で、きちんと書いておられました。とても好きな彫刻家なので、お元気でよかったと思いました。
 華道家の中川幸夫さんは、3歳のとき事故による怪我が元で脊椎カリエスにかかっておられるのですが、91歳。東京中野の風呂無し6畳アパートに住みながら、今も挑戦し続けておられます。いけばなは作品を売ることができないのです。
 戦後、同じように活動をはじめて勅使河原蒼風、小原豊雲、中山文甫といった人たちは、いけばな流派を作って、多くの弟子を持ったのですが、亡くなってしまっています。
 太宰の「きりぎりす」の女性が求めた、本当の芸術家がここにいるような気がします。
 今年も最後になりました。
 来年もいい年でありますように。





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Last updated  2009.12.31 22:14:56
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