小学校の上がる前の話です。我が家に犬がいました。まだその時分は犬を鎖でつないで飼っている上が少なくて、野良犬も多い時代でした。時々野犬狩りの保健所の車が止まっているのを公園のそばなどで見たことを覚えています。それで我が家の犬。名前は確かマリだったと思います。なぜ思いますというかと言うと、しっかり飼っていたのではなかった気がするからです。どうも野良犬がたまに遊びに来るという風なところがあり、私もマリにおやつをやったりしていたのですがいつも我が家にいるわけではなく、母に「マリはどこ?」とよく聞いていたような気がします。今となっては色もハッキリ思い出せないくらいで雑種で中型の犬だったとは思います。頭が少し悪くて愛想がよく子どもたちにもそれなりにかまわれていましたが、子どもが大好きでいつも遊ぶということもなく、一日中あちこちをふらふらさまよっている風でした。それがある日急に姿を見せなくなったのです。祖父が家の床下で死んだのじゃないかと調べたり、近所の行きそうな場所を尋ねたりもしましたが見つかりませんでした。誰かが野犬狩りにつかまったとも行ってましたが真相は分からないままです。だから私の記憶には名前とふらふらさまよっている姿だけが残っています。確かにあの犬を好きだったのに手ごたえのある思い出が何もないのですね。あんまり不思議なので先日母に聞いたら確かに飼っていたそうです。それでも母の記憶も曖昧でなんだかキツネにつままれたような気がします。不思議な思い出です。
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最終更新日
2007年07月29日 07時10分49秒
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