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DVDで「ビュウティフルマインド」を見ました。風に飛ばされそうになりながら、図書センターから借りてきたものです。ジョン・ナッシュの生涯を描いたものです。
ジョン・ナッシュは米国の数学者ですが、「ゲームの理論」でノーベル賞経済学賞を受賞しました。 この人の名は、「天才と分裂病の進化論」という本で知りました。 その本の内容です。 (この本が日本語に翻訳された頃、病名が統合失調症に変わりました。議論がありましたが、以前から使われていた分裂病に訳すことになりました) 分裂病や双極性障害のような深刻な精神病は、多くの分野で高度な創造的な偉業を達成してきた家系に、極めて高い頻度で見つかります。創造性の極限と分裂病の間には、遺伝的なつながりがある可能性があるのかもしれません。 一方、天才で、分裂病患者というのはは少ないのですが、ノーベル賞受賞者は2人います。その内の1人がナッシュです。 彼は、20代で優れた業績をあげたのですが、大学院時代には、既に発病していたと言われています。性格は相当に変わっていて、ある意味、嫌われ者でもありました。その辺は、映画でも表現されています。また、反ユダヤ主義、反共産主義者でした。 映画は、ナッシュの心で描いていきます。幻覚や妄想も事実として描かれます。共産主義者に狙われる恐怖もあります。サスペンスドラマの様に、不条理な話が続きます。最後に、あなたは分裂病を患っていると告げられ、話しの全体像が明確になってきます。 (分裂病の症状では、幻聴が一番多いようですが、映画にはなりにくいのか、出てきません) 分裂病を、日本を含めた11カ国で調査しました。ブレが無いように、調査項目を標準化しました。その結果、分裂病の発症率は1%前後で、国別、人種別の差はありませんでした。ただし、症状は、文明が進むほど激しくなり、そうでない程、穏やかです。 前立腺がんでは、人種による発生率に、明確な差があります。黒人>白人>黄色人種です。 このことから、分裂病は、人類が誕生して後、人種が枝分かれする前の古い時代からあった病気だと推察されます。精神病が多くの人間の創造性に貢献しているとすれば、狂気こそ、現生人類の出現に重要な役割を果たしていたのではないでしょうか。 分裂病患者は痛みに強く、関節炎にはなりません。また、マラリアになって高熱を発すると、症状が軽快します。わざとマラリアに感染させるという荒療治が行われた時もありました。これを考察すると、分裂病は、症状の激しさや特異さから、精神の病と見られていますが、実は全身病なのではないかという疑いが出てきます。 最近の研究では、不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸、特にエイコサペンタエン酸の不足が関連していると見られています。実際、エイコサペンタエン酸を患者にを与えると、20%の人が軽快しました。エイコサペンタエン酸との関連は、年々、明確になってきています。 また、分裂病には、DNAの突然変異が関係しています。変異は1個だけではなく、最低でも2個、多ければ4個が重なっているといわれています。逆算すると、人類の半数は、少なくとも、これらの変異の1個は持っているという計算になります。 以上、「天才と分裂病の進化論」という本の、簡単なまとめでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.04.16 23:23:35
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