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カテゴリ:公演を終えて
公演前はネタばれの恐れがあるので書きたくても書けませんでした。
『公演をおえて』でも書いてますけど、『眼 留』という作品は去年の《UNI》の活動を書き換えたものです。 全然別物に見えるところがミソですな。 ヒロシマに行って出逢った1枚の写真。 ここから始まるドラマが芝居より夢のよう。 芝居にするとただのくさい芝居になってしまうのですが、現実をリアルにするとそうなってしまうのです。 まずは松重美人(マツシゲヨシト)さんという方をご紹介しておきましょう。 松重さんは元中国新聞社のカメラマンで、1945年8月6日のヒロシマを撮られた方です。 投下当日の写真は松重さんの撮られたものしかないんだそうです。 しかも5枚だけ。 そのうち平和資料館に展示してあったのは2枚目の写真。(今は1階にも1枚目の写真がジオラマのそばにあります) 私はそんなものがあるなんて知らなかったので実に驚いて、ガイドを御願いしていたピースボランティアの方にいっぱい質問しました。 しかし詳しくわからないらしく、ただ、「ネガは全部で5枚。もう随分傷んできてるのでかなり貴重なものです。撮る時に指が震えてとれなかったと聞いてますけど・・」と言われました。 指が震えて撮れない中で撮った5枚。 残りの3枚は何が写っているのだろうか。 私は資料館を回りながらいろいろ考えました。いろいろあって出せないともいっておられたので、私の中で勝手な憶測がなされます。 あまりにむごい写真にちがいない。 私の結論はそうでした。 ところがこの後、公園を案内してくださった別のピースボランティアの方が下さったチラシがドラマの幕開けになりました。 そう、この方が下さったのは写真集のチラシ。 「資料館にもあったと思うのですが、松重さんがとられた5枚の写真を収めた写真集をこのたび出すことになりました。私、実は監修をやってて・・、この写真集には本人の体験談とその写真に写っている女性と再会したときの対談が載せてあります。」 私の絶句した顔はきっとすごかったにちがいない。 周りのメンバーも私が聞きまくっていたのを知っているから、この人達もちろん絶句。 この本はこの時点ではまだ発行されてなかったんですよ。 8月初旬に・・とのことだったので予約して、できたら送って下さいと御願いして帰ったのです。だから私が持っている本はまだ発行部数が少なかった第1版。 で、これが送られてきたのが実は去年の朗読会の前日。 このタイミングもまたすごいですな。 もちろんすぐ見ましたよ。 すごい緊張しました。 だって5枚しか撮れなかった写真ですよ。絶対覚悟がいると思ってました。 開けてみて・・・・え?・・・これがそうなの? 今までの原爆の写真とは全然違う角度のものでした。 でもそれが私にはとてつもなくリアルに感じました。 「ああ・・・、本当に、本当にあったんだこんなことが・・・」 その後にある証言の手記を読んで鳥肌がたちました。 恐ろしさでではありません。 ”たしかにそこに存在した人”の心に触れたとき、なんていったらいいのかわかりませんが・・、突き動かされるものがありました。 実はこの方、松重さんは現在92歳、奥様と今でもお元気に暮らしておられます。 今年に入っても忘れられない写真、ついに松重さんに会いに行こうという馬鹿なことを考えます。 GWに合宿をし、途中まで書かれた台本で稽古。その夜には順番に松重さんの本を回して読みました。 そらまあ、反応はさまざま。 号泣する奴はいるわ、考え込む奴いるわ・・・、とにかくメンバーにも強い影響を与えました。 そしてその2週間後、役者全員ヒロシマ行きをすることになります。 そして前日出発組は私と共に松重さんに逢いに行ったのです。 本日はここまで・・、明日に続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年09月02日 23時00分00秒
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